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野口先生と泉田さんの対談後編では、アマゾンが金融事業に進出する未来予想についてお聞きしました。
すでに「アマゾン・レンディング」なる短期融資サービスを行っていますが、今後、「デジタル・ウォレット」をアマゾンが握る可能性についても、非常に興味深いところです。
さらに後半では、ブロックチェーンがなぜ銀行を破壊しうるのか、改めて本質を伺います。それを理解すれば、銀行消滅は序章にすぎないことや、いかなる産業が破壊されていくかなど、その地形全体が見えてくるはずです。何点か疑問に思った箇所がありました。
・「物流や購買に関する圧倒的なデータを保有するアマゾンが仮装通貨を発行する主体になりうるんじゃないか」と述べつつ、プライベート・ブロックチェーンを批判している。
・「日本の場合は、海外と逆で、銀行がスタートアップ企業を買収して取り入れてしまう流れにある」
→実際にはBBVAなどの海外の大手銀行がテクノロジー企業を買収しまくっている。
・「ブロックチェーンで行えば、胴元が必要ないので、商品が自動的にフレキシブルに供給される」
→ブロックチェーンが仕組みを整えても、高度なデリバティブ商品を提供する個人が増えることには繋がらない。
・「ブロックチェーンによって、AirbnbやUBERなどの仲介業者が無くなる」
→信用や金銭のやり取りを個人間で行う仕組みはブロックチェーンが技術的に代替可能だと思うのですが、AirbnbやUBERの圧倒的に使いやすいUIを誰が提供してくれるのかという視点が無い。銀行には大きく2つの役割があるかと。
決済と信用創造です。教育、不動産、事業性ローンなどの貸出によって信用創造されます。貸出をせずに資金決済しか行わない銀行も存在しており、決済銀行と呼ばれています。
当然ですが、銀行はもっている預金と同じだけの現金(+日銀当座預金)を持っているわけではありません。なので信用不安等による急な現金の引き出し要求には応えられず、取り付け騒ぎに繋がります。
言ってみれば銀行は、自己資本に対して預金によるハイレバレッジな信用取引を行っていると言えます。よって顧客保護(預金者保護)には数々の規制が必要であり、自己資本比率規制や、預金保険制度などが必須です。
日本振興銀行は預金保険法を悪用し、リスクの高いファンドに投資した結果、破綻しました。モラルハザードです。銀行には規制遵守だけではなく、非常に高いモラルが問われます。
では、決済はどうでしょうか?
資金決済には、日銀の当座預金で決済させるまではカウンターパーティーリスクが発生します。つまり銀行の倒産リスクを抱えています。ファイナリティーを持った決済 (※これはブロックチェーンのファイナリティーとは違う意味である。)が市中銀行で可能になれば、カウンターパーティーリスクは排除できます。その場合はリスクの低い決済サービスが提供可能であり、必ずしも銀行免許が必要であるとは言えないのではないでしょうか?
■銀行免許をAmazonのような事業会社に開放するとどうなるのか?
同じ会社の中でも、事業会社と金融機関は区別されて語られることが多々あります。それはリスクの仕組みが大きくことなり、また社会システムの一部として、金融機関が重要な役割を果たしているからだと考えています。
銀行免許を複数に分けることは可能でしょうか?決済と信用創造の一部を事業会社に渡すとどうなるのでしょうか?資金移動業や割賦販売法がその目的なのでしょうか?いえ、この方法だとまだ銀行、銀行システムに依存しています。
既存の金融機関に依存しないが、安全で便利である金融システムは構築できないのでしょうか?
ブロックチェーンがその答えなのかもしれません。