【南場智子】スポーツ事業はDeNAの成長ドライブ

2017/9/12
「ビジネス×スポーツ」で価値を創出する企業を掘り下げる当連載の初回は、横浜DeNAベイスターズとして2012年シーズンに球界参入して黒字経営化、4年で観客動員数165%増などを達成し、ランニングクラブの運営も行うDeNAの南場智子会長が登場。全3回でお届けする。

ネットで閉じていた時代は終わり

――AIや自動運転技術の開発、ヘルスケア事業など現在のDeNAは多角的に事業を展開されています。一方では横浜DeNAベイスターズの球団運営に加えて、チアスクールや陸上チームなどの運営にも携わるようになった。御社にとって、スポーツ事業はどのような意味合いを持つのでしょうか。
南場 やはり事業としてしっかり成功させる。成長させて、発展させる。一つの事業の柱として育てていきたいと思っています。
私たちのスポーツ事業には、スポーツという軸と、横浜という地域の軸があります。その両方が合わさって、地域スポーツとしての考え方、スポーツを通じて地域を元気にするというコンセプトやビジョンが形作られている。この方向性に従って、スポーツ事業を一つの事業体として発展させていくのが最も重要なことだと考えています。
南場智子(なんば・ともこ)/株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)ファウンダー、代表取締役会長
新潟県生まれ。津田塾大学卒業後、1986年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1990年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。1999年に同社を退社してDeNAを設立し、代表取締役社長に就任。現在は会長
同時に我々は事業会社ですので、しっかりとした事業として成立させていく。最初は赤字から脱却して、黒字にするのが自立性を確保するためにも絶対条件ですけれども、スポーツの中でも、特に規模の大きな野球というスポーツに携わらせていただいていますし、なんといっても場所が横浜という素晴らしい商圏ですので、横浜とスポーツを掛け合わせたポテンシャルは大変に大きい。
この組み合わせの中で作り上げるもの――スポーツで人と街を元気にするという考え方を実現するための事業として、やはり成功させたい、発展させたいというのが第一義的な役割ですね。
――スポーツ事業には、それだけのポテンシャルがあると思いますか。
あると思います。
今のDeNAは、主にゲーム事業によって利益が支えられています。2017年3月期はゲームが売り上げの70.4%を占めていました。スポーツが9.5%、Eコマースが12.8%、新規事業・その他が7.3%でした。
でも私たちはゲームの占める割合を完全に半分以下にして、2025年ぐらいまでにはワンオブゼム(さまざまな事業の一つ)にしていきたい。そのためには2020年すぎには、ゲームと同じくらいの柱を複数作ることを実現したいと思っています。スポーツ事業はその候補の一つとして期待しています。