[ワシントン 28日 ロイター] - 米上院は28日未明、医療保険制度改革法(オバマケア)の一部を廃止する法案を否決した。共和党がオバマケア見直しを断念する可能性が高まり、トランプ大統領には大きな打撃となった。

採決は51対49で、民主党は全員が反対票を投じたのに対し、共和党からはジョン・マケイン氏、スーザン・コリンズ氏、リサ・マーカウスキー氏が反対に回った。

コリンズ氏とマーカウスキー氏は、今週行われたより包括的なオバマケア代替法案の採決でも反対票を投じていた。

採決後、共和党のマコネル上院院内総務は「明らかに失望的な瞬間だ。われわれがより良い方向を見出せなかったことを国民は後悔するだろう」と述べた。

共和党は上下両院で過半数を占めるが、トランプ大統領は就任後6カ月経っても依然として議会で重要な成果を上げていない。トランプ政権下で医療保険制度や税制改革、インフラ整備が迅速に進むことを期待した金融市場にも打撃となる。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で「3人の共和党議員と48人の民主党議員が米国民を失望させた」とし、オバマケアを自滅させ、その後で新たな医療保険制度を確立すべきと主張した。

否決されたのはオバマケアの廃止範囲を縮小した「スキニー」と呼ばれる法案で、個人の保険加入義務や雇用主の保険提供義務、医療機器メーカーに対する課税を見直す内容だった。

民主党と一部の共和党議員は、法案が否決されたことでオバマケアを維持しながら問題点を両党が協調して修正する道が開かれたとの見方を示した。

一方、複数の共和党議員は税制改革など他の問題に取り組むべきとの考えを示した。共和党のロン・ジョンソン上院議員は記者団に「われわれが最初に手掛けるべきだったのは税制改革だ。これから取り組んでいく」と語った。

*内容を追加しました。