[東京 28日 ロイター] - 野村ホールディングス <8604.T>が28日発表した2017年4─6月期連結決算(米国会計基準)は、当期利益が前年同期比21.4%増の568億5600万円になった。市場のボラティリティー低下を背景にホールセール部門は振るわなかったが、営業(リテール)部門は大幅に回復。海外は5四半期連続で黒字を確保し、グループ全体の業績の下支えとなった。

グル―プの主な3セグメントであるリテール、アセット・マネジメント、ホールセールの税引き前利益は、638億円と前年同期比6%減。この日会見した野村HDの北村巧・財務統括責任者(CFO)は「600億円台で底堅く推移した」と評価した。

リテールでは、投資一任の残高を順調に積み上げたほか、外国株や外債など幅広い商品の販売が好調で、税引き前利益は前年同期比2.8倍の249億円。1─3月期比では3%減となった。

野村はリテールの営業方針を大幅に変更し、地区ごとにトップダウンで戦略の指令が出ていたのを、支店や現場の意志を優先しサービスを提供する体制とした。

北村CFOによると、こうした変更は「まだ数字面での成果にはつながっていない」という。ただ、顧客との接点が増え、「将来に向けた種まきができている」という。

足元、7月の状況について北村CFOは「営業(リテール)、アセット・マネジメント部門ともに第1四半期の収益水準が続いている」と述べた。

一方、トレーディングや投資銀行業務を行うホールセール部門は7月、各国の金融政策を巡る不透明感を背景に投資家の様子見姿勢が広がり、「第1四半期をやや下回るペースで進捗している。決して楽観できる収益環境ではない」という。

同部門の4─6月期の税引き前利益は前年同期比46%減の254億円だった。

日本企業の海外M&A(企業合併・買収)の拡大を受け、金融機関でもM&Aアドバイザリー業務を拡大する傾向が続いている。

野村もすでに、重点戦略として米国での投資銀行業務など、ホールセールの強化を挙げている。

こうしたなか、大和証券グループ本社<8601.T>は27日、米M&Aブティックの買収を発表。これに関連し野村の北村CFOは、買収によるM&A業務の拡大を「否定するものではない」としたうえで、「まずはオーガニックで成長したい」ともコメント。状況に応じて、M&Aと人材採用による拡大の両方を検討する従来の考えを繰り返した。

*内容を追加しました。

(江本恵美)