【落合陽一×林千晶】データさえあれば、今後の問題は解ける

2017/7/27
日本の未来を考えるときに、欠かせないファクターがテクノロジーだ。自動運転、AR、VR、AI、ロボット、IoTなどのテクノロジーをどう活かすかによって、日本のかたちは大きく変わるだろう。“現代の魔法使い”である落合陽一氏は、どのように日本の未来を描いているのだろうか。「脱近代」という切り口と絡めながら、ロフトワーク代表の林千晶と語り合った。
*本記事は、NewsPicks×HIP 第7回「未来の東京」のイベント「テクノロジーとアートが変える未来の都市・落合陽一氏の考える理想都市とは」の内容を再構成したものです。
第一回:デジタルネイチャーは、仏教用語で説明できる

落合陽一の日本再興戦略

林 先日、ある東大の先生と話した時に、「これからは、人工知能が人間に理解できない言語をどんどん生み出して、物事を解決していくことになる。それは今まで人間が生み出し、言語化されてきたものを超えるものだ」とおっしゃっていました。これは落合さんの言う、「事事無碍法界に理屈をつける作業」に近いニュアンスですよね。
落合 そうですね。その上での提言として、ダイバーシティの総和はある種の人間に関するジェネラルインテリジェンスになりうるとの考え方を持つべきだというのが、僕の日本再興戦略です。それは、汎用人工知能よりも前段階のものですが、人間知能の補完と身体の補完が行われうる。
伝わりにくいかもしれないですが、例えば高齢社会にある我々は、やがて高齢化とともに目が見えなくなるし、耳が聞こえなくなるし、体は動かなくなることは間違いありませんよね。つまり、高齢化によって発生する問題というのは明らかですから、その解決策を、AIを使って解くことになる。
この場合、人間による抽象的解釈やメソッド先行で考えることは不要で、データさえあればそれでいいわけです。だから現在は、データさえあれば今後の問題は片っ端から解いていけることになります。
落合陽一(おちあい・よういち)/メディアアーティスト
1987年東京都生まれ。筑波大学学長補佐・助教、デジタルネイチャー研究室主宰、Pixie Dust Technologies.inc CEO。コンピュータと人の新たなる関係性を実証するため、実世界志向コンピュータグラフィクスやヒューマンコンピューテーション、アナログとデジタルテクノロジーを混在させたメディアアート表現を行う。
林 その高齢化の例でいうと、AIを使って問題を解くと、どうなるんですか? 衰えた手や足が動くようになる?
落合 そうかもしれないし、その人に相応しい義手や義足が設定されるかもしれない。目が不自由な人であれば、目を使わずに空間を把握する能力を身につけられるかもしれないし、耳が聞こえない人が映画を見る際には、目に字幕が出るような技術がつくられるかもしれません。