【松岡正剛】若手官僚たちよ、今、ともに「日本」を問い直そう

2017/7/9

若手ペーパー作成の「指南役」

巨人が動いた。
2017年5月に発表され、話題を巻き起こした経済産業省の若手官僚らによるペーパー「不安な個人、立ちすくむ国家」。実は、ペーパーを作成する過程では、日本のトップ有識者ら2グループとの幾度にわたる意見交換会が開かれていた。
そのうち、若手が「普段の業務では、絶対に触れられない思考に打ちのめされた」と振り返ったのが、「知の巨人」として知られる研究者、松岡正剛氏が率いるメンバーとの意見交換会だった。
安西祐一郎(元慶應義塾長)、田中優子(法政大学総長)から、鈴木健(スマートニュースCEO)、須藤憲司(Kaizen Platform CEO)まで──。
現代思想、テクノロジー、ビジネスを自由に行き来する多士済済の識者が、「若手ペーパー」をサポートした背景はなんだったのか。また彼らは、「国家」を担う官僚に何を期待しているのか。
東京は赤堤。2万冊の本に囲まれた編集工学研究所の「本楼」に松岡氏を訪ねた。

骨を感じた経産次官

──まず、なぜ経産省若手との意見交換会を、引き受けられたのですか。
松岡 普通なら引き受けなかったと思います。