脳の細胞アストロサイトが病変脳内の不要物質を「食べる」ことが判明
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アストロサイトを含むグリア細胞には主に4種あり、アストロサイト、ミクログリア細胞、オリゴデンドロサイト、NG2陽性細胞があることが知られています。
グリア細胞は、神経細胞より多く存在するものの、神経細胞の様にダイナミックな電位変化がないために、その機能は過小評価され、「構造物」扱いされて来ましたが、近年の研究でその重要性が徐々にわかって来ています。
特にアストロサイトは、シナプスを覆い(ひとつのアストロサイトでヒトの場合約200万のシナプスを包む)、神経細胞にエネルギーを供給し、神経伝達物質の受容体を持ち、取り込んだり放出したりする。種々のイオンチャネルを持ち、特にカルシウム濃度を変化させることで、シナプス可塑性、つまり記憶の形成にも重要な関わりを持っていることがわかりつつあります。神経細胞外のイオン濃度や電位調整などを通じて、ニューロンネットワークの外側で別の情報伝達経路を担っているのではと想像します。
そのアストロサイトが、貪食性に変容するという研究ですが、グリア細胞の仲間であるミクログリア細胞もマクロファージの様な貪食作用を持っていることが知られており、その機能的な住み分けも気になるところです。ネットワークのホメオスタシスに重要な役割を担っているのでしょう。
ディープラーニングの革新は、脳の機能を真似たことがきっかけでしたが、すでに人工知能は脳科学にヒントを得る必要はないという話も聞きます。しかし、脳の中では単純なニューロンネットワークの構造以外にも様々な作用を行っている細胞があり、そうした細胞の機能に着目することが、今後のさらなる飛躍に必要な時が来るかも知れません。