ポジティブな思考と行動を意識する

幸福は人それぞれだ。健全で思いやりにあふれ、互いを支えあう関係を築くことに幸せを感じる人もいるだろう。高価なものを手に入れ、それを楽しむ時間を持つことが幸せだという人もいる。
あるいは、しっかりと地に足がついた感覚を持ち、生きていれば避けられない挫折があっても、立ち上がって成長できることが幸福という人もいるかもしれない。
定義は何であれ、私たちの周りにいる幸福度の高い人は、ネガティブな雰囲気を放っている人とは明らかに異なる精神的習慣を身につけている。これまでの研究データから、そうした習慣を集めてご紹介しよう。

1. フェイスブックに熱中しない

フェイスブックの利用が人間に及ぼす影響については、数多くの研究がなされている。それによると、フェイスブックをよく利用する人ほど気分が落ち込み、反対に利用をやめると幸福度が上昇するという。

2. パートナーへの思いをSNSでシェアしすぎない

学術誌『Personality and Social Psychology Bulletin』に掲載された研究によると、フェイスブックで自身の恋愛をおおっぴらに発信しすぎる人は、実際には関係が安定していない可能性があるという。
「パートナーの愛情に確信が持てない日ほど、人々は自分たちの関係についてフェイスブックに普段より多くの投稿を行っていた」と同研究は報告している。

3. 質の良い睡眠をたっぷりとっている

英ウォーリック大学の研究チームは、睡眠の質と量を改善することは、宝くじに当たるのと同等の効果を健康と幸福度にもたらすことを明らかにした。
これまでの研究から、人間は1日に最低7時間の睡眠をとることが推奨されている。十分な睡眠をとる方法も研究されている。

4. 小さなことでも嘘をつかない

ノートルダム大学の研究チームによると、10週間にわたって嘘をつかない生活を心がけた人は、心身の健康状態が大きな改善を示したという。

5. 時間とお金を他人のために使う

ノートルダム大学の研究チームがアメリカ人を対象に行った調査では、自身を「とても幸福」と評価した人は1カ月に平均5.8時間のボランティア活動を行っていたのに対し、「不幸」と評価した人のボランティア活動は平均0.6時間ほどにすぎなかった。
また同じ調査によると、収入の10%以上を寄付している人は、それ以下の人に比べて、うつ状態を経験する確率が低かったという。
物質面だけでなく、精神的に寛容であることも良い効果をもたらすようだ。他者を思いやり、親切にする人は、そうでない人に比べて健康状態の良好な割合が大幅に高いという結果が出ている。

6. 活発に体を動かす

意識して運動することは、健康と幸福度の向上に効果的だとする研究結果は多いが、英ケンブリッジ大学の研究チームは、運動と呼べるレベルでなくとも、ただ体を動かすだけで幸福度が増すことを明らかにしている。
散歩や、座ったり横になったりと厳密には運動といえない活動でも、それらを実施した被験者ほど幸福度の自己評価が高くなる傾向を示したという。

7. 適度な収入がある

「お金で幸福は買えない」とよく言われるが、それは必ずしも真実ではない。
プリンストン大学の研究チームによると、収入が多いほど主観的な幸福度は高くなるが、その傾向がみられるのは収入が7万5000ドルまでで、それを超えると幸福度の上昇は頭打ちになる。
一方で、無一文になった経験のある人なら実感としてわかるだろうが、収入の低さは生活への満足度と情緒的な幸福感の低下と相関する。
つまり、巨万の富を得ても、そこそこの収入の人と比べて幸福になれるとは限らないが、収入が低いことは確実に人間を不幸にする原因になるのだ。

8. 感謝の気持ちを忘れない

マイアミ大学などの研究チームは、被験者を3つのグループに分け、毎週決まったテーマで文章を書かせる研究を行った。
第1のグループは、その週に起こった感謝すべき出来事について。第2のグループは、その週に起こった嫌なこと、腹が立ったことについて。第3のグループは、良いことか悪いことかに関係なく、自分に影響を与えた出来事について。
10週間後、感謝すべき出来事について書いたグループは、より楽観的で人生に対する満足度も高い傾向を示した。さらには、嫌な出来事について書いたグループに比べて、よく運動し、医師の診察を受ける回数も少なかった。

9. 「今、この瞬間」を生きる

過去を引きずったり、将来のことを心配したりしているときに幸福を感じるのは難しい。実際、幸福度の高い人は「今、この瞬間」に意識を向けていると述べるのは、幸福について研究するマット・キリングワースだ。
キリングワースは、ユーザーに自分の気持ちをリアルタイムで報告してもらうiPhone向けアプリを開発した。このアプリは、ユーザーに1日に何度か通知を送り、その直前にしていたことについて質問するというものだ。
こうして1万5000人あまりからリアルタイムで集めた65万件の報告データによって、人間は目の前のことから意識がそれているときには、今していることに意識を集中させている場合に比べて、幸福度が大きく低下することが明らかになった。
「意識を集中」する行動は、通勤のような日常的行為であってもよいのだという。
「ひとつの理由、それも大きな理由として考えられるのは、意識が散漫になるとき、人はたいていネガティブなことを考えるものであり、そうした心配ごとや不安、後悔に意識を向けるというのは、幸福度を著しく下げる行為だということだ」と、キリングワースは「TED×ケンブリッジ」で語っている。
「さらに、特に不快なことを考えていなくても、意識が散漫になっているときは、集中しているときに比べて幸福度がかなり落ちる。本人にとって楽しいことを考えているときでさえ、気が散っていないときに比べると、実際には少しだけ幸福度が低くなる」
原文はこちら(英語)。
(執筆:Christina DesMarais/Contributor, Inc.com、翻訳:高橋朋子/ガリレオ、写真:a_crotty/iStock)
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This article was produced in conjuction with IBM.