[東京 18日 ロイター] - 日本郵政<6178.T>は、野村不動産ホールディングス<3231.T>の買収を断念する。関係筋が明らかにした。日本郵政は、不動産事業を取り込むことで傘下の日本郵便の収益力向上に結び付けたいとしていたが、買収価格などで折り合わなかった。

日本郵政は、買収に向けて野村不の資産査定を実施し、筆頭株主の野村ホールディングス<8604.T>とも交渉してきたが、株式の取得価格などで折り合いが付かなかった。買収に伴う相乗効果も、買収額ほどには見込みにくいなどの意見も出た模様だ。

今回の買収案では、日本郵便が全国で持つ不動産について、野村不が事業化することでグループの新たな収益源に育てることが狙いだった。

日本郵政は一昨年、オーストラリアの物流大手「トール・ホールディングス」を約6200億円で買収したが、同社の業績悪化により前年度に約4000億円の減損損失を計上。その結果、前年度決算では郵政民営化後、初の最終赤字に転落した。このため、同社の買収戦略に対して自民党などからも慎重な意見が出ていた。

(布施太郎 編集:田巻一彦)