【求人掲載】直面する「新たな課題」、「人」だからこそ発揮できる介在価値

2017/6/16
「転職エージェント業界にも大きな変化の波が押し寄せています」。こう語るのは、リクルートキャリア エージェント事業本部の佐藤学本部長だ。その背景にあるのは「働き方の多様化」と、「情報技術革命の進展」による多様で大量な情報へのアクセシビリティの進化。企業にとっても個人にとっても意思決定時のプロセスがより複雑化するなか、業界ナンバーワンのリクルートキャリアは、エージェント業界が迎える変化にどのように向き合うのか。テクノロジーの進化など環境が日々変わりゆくなかで、「エージェント」個人に必要な資質とともに考える。

働き方の多様化と情報技術革命の進展が生んだ新たな課題

人材マーケットは景気の影響をダイレクトに受けますが、今は長期にわたって好景気が継続中。また景気の影響以上に、日本社会は今後、構造的な人材不足の時代を迎えようとしています。
そんな中、企業からの求人はひっきりなし。求人企業と求職者の間に人が立ち、採用/転職を支援させていただく転職エージェント業界に寄せられる期待も、これまでに増して大きくなっていることを感じます。
一方で、現在、大きく2つの社会変化の中で、エージェント業界もその介在価値を問われ直されています。ひとつは、「働き方の多様化」。もうひとつが「情報技術革命の進展」です。
「どちらも歓迎すべき変化じゃないか」と思うかもしれません。たしかに、その通りなのですが、これによって、人材を求める企業も、職を探す個人も、「悩み多き時代」に突入していることもまた一方で事実なのです。
まず、「フレックスタイム」「時短勤務」「副業・兼業OK」「在宅勤務可」「サテライトオフィス」など、多様な働き方が認められたことによって、時間や場所の制限が取りはらわれた結果、企業が人事戦略を組む難易度はこれまでになく高まっています。
働き方の多様化により、どれくらいの人を採用すれば仕事が回るのか、適正な要員構成になっているか、あるいは適正な人件費になっているかが、今まで以上にわかりにくくなってしまった。
また、個人のワークスタイルや価値観も大きく変化しており、大手企業に転職することだけが「キャリアアップ」ではないなど、(新しい)働き方のモデルの多様化により、単純に優先順位をつけることや選択が難しくなりました。
次に、インターネットやスマートデバイス、ソーシャルメディアの普及に伴い大量な情報を容易に得ることが可能になりました。日々目に触れる膨大な情報に翻弄されず、必要な情報を適切に取捨選択しながらしっかりと地に足をつけて立つことは非常に難しくなってきていることもまた事実です。
人間は不思議なもので、ある程度不自由なほうが、より自由に振る舞えることがあります。
自分の子どもを見ていると、それをよく感じます。
子どもって、コンビニがすごく好きなんです。「何かひとつ買っていいよ」と言うと、あっちに行き、こっちに行き、真剣に、楽しそうに選びます。でも、それが郊外の大型店舗だとどうなるか。商品が多すぎて、選ぶことを諦め、ついには退屈しはじめます。
情報技術革命の進展は、大量かつ多様な情報へのアクセスが飛躍的に容易になったという大きなメリットをもたらしてくれた一方で、情報の氾濫ともいえる状況をもたらす可能性も持ち合わせています。
エージェント業界の生業においては、個人も企業もマッチングのための材料が増えた。それらを適切に使いこなすことが出来れば新たなマッチングの可能性につながる一方で、あり方次第では「増えすぎた」ことが悩ましさを増す原因になる状態を招きかねません。

変化の時代、エージェントに求められる資質とは

多様な働き方の普及と情報革命の進展という状況を前に、変化を求められているのは企業と個人だけではありません。私たちエージェントも同じです。
膨大な量や種類の情報に触れることが可能になり、選べる働き方の種類もこれまでになかったくらい多様になっていくなかで、自身の働き方についての選択の難易度は高まる一方です。
そんな状況にあって、エージェントへの期待はますます高まっていると感じます。私は、エージェント業は、「意思決定支援事業」だと定義していますが、決断することが難しくなっているからこそ、私たちエージェントが、適切に背中を押さなければいけない。
もちろん、日々進化するITによって解決できる部分もあります。
たとえばAIの進化によって、マッチしそうな人材、企業を提案する「レコメンド機能」はより強力になっています。ですが、転職は人生のなかでも数回しかない、重大な意思決定です。レコメンドだけを頼りに家を買おうという人がいないように、それだけで転職に踏み切る人はいないでしょう。
そのため、エージェントには情報を編集したり、整理したり、優先順位をつけたりという「情報リテラシー」が以前にも増して求められるのです。
私たちのサービスでお手伝いさせていただいているクライアント(求人企業)、カスタマー(求職者)は業界で最多。
転職エージェントとして、これまで述べたような環境変化の中で効率的にマッチングを成立させるならば、業界や職種、あるいは地域、年収帯など、特化する方法もあるかと思いますが、私たちは、期待を寄せていただけるあらゆる求人企業、求職者のみなさまのお役に立ちたい。
だからなおさら、私たちエージェント一人一人が進化しなければいけません。
「この転職がベスト」
「この人材がベスト」
そう言い切れたらいいのですが、実際、その結果が本当にベストかどうかは誰にもわからない。データやテクノロジーを活用し、それらが得意とする「最適解」に近づく技術は活用しながら、「最適解」にとどまらず、本当にその選択を「ベスト」な結果にするための「納得解」につながる介在価値を発揮できなければならないと考えています。
明確な正解はないので、自分なりのやり方で挑戦しようという気概がないと、エージェントは務まらないでしょう。逆に、混沌とした状況から新しい提案を作り出すことにワクワクする人にとって、現在のエージェント業は「天職」といえるかもしれませんね。

イノベーションを生み出すのは「圧倒的なリアル」

もともとリクルートキャリアには、「成長したい」「変化したい」という人が集まっています。
現状をそのまま受け止めるのではなく、今のやり方が正しいのかを疑って、もっといい方法がないかと考えるのが好きな人には広い活躍の場が用意されています。そうした方にはぜひ、未来のイノベーションにつながるような仕事をともにしたいです。
今のサービスの在り方を圧倒的に進化させるようなイノベーションの源泉としては、目の前の求人企業や求職者の方の実際の困りごとという「圧倒的なリアル」に勝るものはありません。
この1、2年で約8300社に導入されている、「CAST」という私たちの新サービスがイノベーションのいい例です。
このサービスでは、私たちが長年エージェント業を営む中で蓄積されてきたマッチングノウハウを活用したシステムから、求人企業に対して、「この人はどうでしょう」と毎日、レコメンドが送られます。
企業はそのレコメンドに対して、簡単なジャッジをするだけ。その結果をAIが学習して、さらにレコメンドの精度を上げていきます。
私たちはその一次結果を受け、その後の採用/転職において「人」だからこそ発揮できる価値により集中してお手伝いをさせていただくことができるだけでなく、「以前聞いた希望から、少し変化があったようだ」と、その後のお手伝いにあたっての重要なヒントを感じ取ることもできる仕組みです。
このサービスは、入社して5年目の若手が生み出しました。
もともと彼に出されたオーダーは、大手や人気企業といった、多数の応募者が集中する企業が、効率的に応募状況を管理することができるようにするための応募者対応システム。しかし、彼は「そんなサービス、本当に必要とされているのだろうか」と考えて、どんどん仕様を変更してしまったんです。
その際、彼は、自身の営業職時代、担当していたある会社の社長を思い出していたそうです。
その会社は交通が不便な場所にあり、なかなか候補者を紹介することができなかった。自分もつらかったし、社長も苦しんでいた。そんなクライアントはほかにもいるはずだ。「仕事の邪魔にならず、あまりパソコンに詳しくない社長にも問題なく使えるように」と考え、複雑な機能はどんどん削除。最終的にできあがったのが「CAST」です。
現場でリアルに感じていた課題を、どうにかして解決する方法はないか。圧倒的なリアルから発想したからこそ、短期間で、本当に使っていただけるサービスが生まれたのです。

熱量の高い仲間とともに悩み抜きたい

リクルートキャリアにいると、お客様からは「面白い提案をお願いします」「根本から変えるような提案が欲しいんです」と、よく言われます。
「リクルートキャリアなら、期待を超える提案をしてもらえるに違いない」。
お客様はそう考え、期待してくださっている。
数あるエージェントのなかでも、そうした期待をリクルートキャリアに寄せていただけることについては、とても誇らしい反面、大変な責任を感じます。
だから、当たり前のことを当たり前にこなすだけでは不十分で、私たち一人一人がお客様本人ももしかしたら気付いていないような本心への洞察や、本人だけでは決して描けないゴールセット、お客様にとっても新たな挑戦につながるような提案をし、「さすがですね」と言ってもらえて、初めてニーズに応えたことになる。
正解がない仕事だから、みんな悩んでいるし、お客様からの期待は高い。突破するには、やはり「熱量」が必要です。
日本は今、労働力不足という大きな課題に直面していますが、この局面を、高い熱量をもって、ともに突破していく仲間が欲しい。考えて、悩んで、それを楽しみながら、エージェント業界に新しい風を吹き込んでいきましょう。
(編集:大高志帆 構成:唐仁原俊博 撮影:加藤ゆき)