(Bloomberg) -- 主要生保8社グループの今期(2018年3月期)基礎利益は、予定利率の引き下げなど超低金利の影響が本格化し6社が減益、明治安田生命保険が増益、朝日生命保険が横ばいを予想している。

日本生命保険は、今期の保険料等収入は横ばい、基礎利益は減益を見込む。三笠裕司常務執行役員は、前期はマイナス金利の影響が出始め、資産運用や商品販売ではすぐに影響があったが、「予定利率の引き下げの影響は今年から出る」と指摘。超低金利の影響が本格化し、「厳しい運用環境を見込み減益」と予想する。

減益を予想している富国生命保険の櫻井祐記取締役常務執行役員は「市場環境は大きく変わらない。販売状況も運用環境も大きく変わることはない」とみている。増収増益を見込む明治安田生命の荒谷雅夫専務執行役は「今夏に予定している外貨建て保険の販売や第3分野商品の拡販、(買収した)スタンコープの貢献が業績を押し上げる」と述べた。

前期の保険料等収入は、住友生命を除いて全社減収となり合計では前の期比10.7%減の23兆6000億円。明治安田生命は、超低金利環境を踏まえ、一時払いの貯蓄性商品の予定利率引き下げや一部販売休止など計画的にコントロールし15.2%の減収だった。唯一増収となった住友生命では平準払いの個人年金保険の販売が増え、古河久人執行役常務は「20-30代の契約が多く、新たなマーケットを取り込むことができた」と語った。

基礎利益は4社増益、4社減益で計1%減の2兆7400億円だった。日本生命は、買収した三井生命と豪MLCの業績が反映されたものの、日本生命単体で円高、低金利により内外債券の利息収入が減少したことなどで3.1%の減益。朝日生命は新規契約が進展し事業費が増えて14.9%の減益だった。

一方、明治安田生命は子会社化した米スタンコープが貢献し6.5%の増益。住友生命では外国債券の利息収入の増加や買収したシメトラ社の配当等により利息・配当金収入が増え7.8%の増益となった。
 
マイナス金利の影響について住友生命の古河氏は「生保にとっては長期的にはネガティブな影響を与える」という。富国生命の櫻井氏は「マイナス金利でプラス面があったのは、営業職員が一時払い商品に依存せず、顧客ニーズを掘り下げた提案など能力向上につながっている」と語った。

保険料等収入
億円(%)
利差損益
億円(実績)
基礎利益
億円(%)
最終利益
億円(%)
今期
基礎利益
かんぽ 50419( -6.9)  +786( +974) 3901(-16.0)  886(  4.4) 減少
日本 52360(-16.4)  +1170(+1939) 6856( -3.1) 3020(-25.2) 減少
第一 44687(-20.0)  +883(+1064) 5585(  2.7) 2313( 29.6) 4800
明安 28664(-15.2) +1748(+1819) 4962(  6.5) 2237(  4.5) 5100
住友 34588( 13.6)  +569( +230) 3330(  7.8)  561(-15.2) 減少
T&D 15052( -4.4)  +298( +402) 1599(  4.5)  752(  3.6) 1460
朝日  3838( -4.4)  -621( -650)  220(-14.9)  293( 66.6) 横ばい
富国  6487(-17.8)  +215( +249)  915( -3.5)  375(-11.0) 減少

※保険料等収入と最終利益は連結、カッコ内は2016年3月期との比較(%)。基礎利益と利差損益はグループ(傘下生保合算値)、傘下生保がない場合は単体
※利差損益の「+」は順ざや「-」は逆ざや、カッコ内は16年3月期実績

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