[東京 19日 ロイター] - 豊田合成<7282.T>とダイセル<4202.T>は19日、協力関係強化と資本提携で合意したと発表した。具体的な協業内容は今後詰めるが、エアバッグなどの安全分野や合成樹脂材料など新素材分野を中心に検討する。相互に約10億円ずつ出資して普通株式を取得、出資比率は両社とも0.2―0.3%程度となる見込み。

両社は従来から取引関係にあるが、株式の持ち合いを通じて協力関係を深める。今後、需要拡大が見込まれる安全部品や新素材の分野で両社の品質管理やものづくりのノウハウ共有、人材交流なども目指す。

先進国では消費者の安全志向が高まっているほか、新興国でも安全規制が強化されるなど世界規模で高品質なエアバッグなどの需要が急拡大している。インドでは今年10月から新車すべてに衝突安全試験が初めて義務化される予定だ。

ダイセルはエアバッグを展開させるガス発生装置(インフレーター)と呼ばれる部品を生産し、豊田合成やタカタ<7312.T>などのエアバッグメーカーに供給している。エアバッグをめぐっては昨今、タカタ製インフレ―ターによる同社製エアバッグの異常展開が相次ぎ、大量リコール(回収・無償修理)を余儀なくされるなど問題が深刻化しており、消費者から高い品質も求められている。

また、環境対応車として今後、電動化車両の急速な普及が見込まれる中、車の軽量化につながる樹脂材料などの需要拡大も期待されている。材料を開発するダイセルとその加工技術を持つ豊田合成が、将来を見据えた新素材の分野でも包括的に協力できると判断した。

(白木真紀)