[ブリュッセル 29日 ロイター] - 英国を除く欧州連合(EU)加盟国は29日、特別首脳会議を開催し英国のEU離脱交渉に向けた指針を採択した。英国に対して単一市場へのアクセスを可能にする新たな合意が早期に実現可能との「幻想」を持つべきでないと改めてくぎを刺した。

指針は離脱交渉でEUを代表するミシェル・バルニエ氏が交渉を進める上での基本方針を示したもので、英国に住む300万人のEU市民の権利保護、英国による数百億ユーロの負担金支払い、アイルランドと英国の国境での混乱回避などを提示した。

バルニエ氏は6月8日の英総選挙後に交渉を開始するとみられている。

英国と通商協定については、離脱協議で「重要な進展」を確認するまで交渉を行わないことを明確にした。

トゥスクEU大統領は記者団に「将来について協議する前に過去のことを整理する必要がある」と語った。

ドイツのメルケル首相は、英国の一部では早期の通商交渉が可能との「幻想」が存在するとして改めて懸念を表明。

「まず離脱の段階があり、次に将来の関係に関する段階に至ることが、英国の政府ではなく一部の人たちの間であまり明確になっていないと感じることがある」と述べた。

これに対し英国側の交渉を担当するデービスEU離脱担当相は声明で「友好の精神」で交渉を進めたいと表明した。

「EU離脱交渉はわれわれの生涯で最も複雑なものになるのは間違いない。厳しく時には対立が生じるだろう」との認識を示した。

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