【楠木建】教養が「実用的」である本当の理由
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『リーダーの教養書』本日発売です!
『リーダーの教養書』はじめに
佐々木紀彦より
私には、今の多くの日本人ビジネスパーソンは、目の前の仕事や、短期的なROIを気にしすぎるがゆえに、ジャンクフードとしての知に頼りすぎていると思う。日本のスタートアップ業界が、どこか刹那的に感じるのは、深い意味での教養がないからだろう。いい目標を掲げている会社はあっても、心の底からワクワクするようなものではない。
世代や国や分野を越えたビジョンや理念を有むには、教養が不可欠だ。それがなければ、目の前のわかりやすい数字を追うだけか、先行者を真似して追いかけるだけに終わってしまう。社会を変えることもないまま、人生が終わってしまうのだ。
翻って、マイクロソフトのビル・ゲイツにしろ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグにしろ、アマゾンのジェフ・ベゾスにしろ、歴史から科学から文学までを網羅する、教養人だ。ネットで検索すれば、彼らが薦める書籍が見つかるが、どれも噛みごたえがある。われわれはビジネスの前に、教養レベルにおいて、すでに米国の起業家たちに負けているのだ。意外と読まれていないのでこの際ぜひともおすすめしたいのが『古事記』。『日本書紀』と両方読むとなおイイが、どちらか一方ということであれば古事記をおすすめする。日本人必読。ずいぶん前、何人かで「読んだ本のベストワンは何か」という話をしていたとき、大前研一さんは迷わず古事記をあげた。さもありなん、と思った。
難しいなと思うのは、教養を形成する本はあまり売れないのに、教養をオススメする側の本は売れるということ。
教養をオススメする文章が読みやすい一方、教養を形成する書籍は読みにくく、時間もかかり、挫折しがちである。
だから意識していないと、教養をオススメする本や文章ばかりを渡り歩いてしまう。