株式会社ユーザベースは、2017年3月30日に第9回定時株主総会を開催しました。
報告事項である第9期事業報告および連結計算書類の内容については、決算説明会での発表資料(ご参考:ユーザベース2016決算説明会レポート(前編)(後編))をもとにご説明いたしました。本レポートでは、株主の皆様からの質疑応答を中心にご報告いたします。

SPEEDA事業の伸びしろ、アジア圏での導入ケースは

代表取締役社長(共同経営者) 新野良介(以下、新野)  これより株主の皆様からのご発言をお受けいたします。ご発言を希望される株主様は、挙手をお願いいたします。
――SPEEDAのこれからの伸びについて、国内は営業が加速できる環境になっているのか、それとも導入期が終わって厳しい状況になっているのでしょうか。そしてアジアにおいて、どういう企業に導入が進んでいるのでしょうか。
新野 ご質問ありがとうございます。SPEEDAの売上は3つに分類されます。1つめは、国内の金融機関様、コンサルティングファーム様といったプロフェッショナルに対する売上で、SPEEDA事業の土台になっている売上です。
昨年の上場時に開示した「成長可能性に関する説明資料」の中で出していますが、上場時で、日本顧客(プロフェッショナル)についても年率20%で上がり続けており、これからも伸びていくと思っています。
「成長可能性に関する説明資料」より
その意味合いですが、こうしたプロフェッショナルはアメリカ発の金融情報サービスに膨大な金額をかけているわけで、比較した場合、SPEEDAはまだまだ規模が小さいため、今後も契約を追加していただいたり、違う部署にも導入していただいたりする余地があります。
2つめの売上である国内の事業会社様の契約も50%近くの年成長率で伸びています。事業会社様はこうした企業・業界情報サービスを使っていないので、全くのホワイトスペースです。この新たな市場を確実なものとできれば、SPEEDAは世界でほぼ初めて、プロフェッショナルと事業会社様の両方に使われるサービスとなっていきます。
数の面でも、一般事業会社様のほうがプロフェッショナルよりもはるかに多く、市場も広いわけですから、これを確実にすることで伸ばしていけると思います。
最後に、海外については、当初の国内と同じようにまだまだ金融機関様やシンクタンク様というプロフェッショナルのお客様が中心です。
海外では、香港、シンガポールといったアジアの、日系企業だけではなく非日系企業のお客様も使っています。海外の非日系企業も含めると、これから獲得できる市場規模は非常に大きいと思っています。

今後の投資とM&A戦略、NewsPicksのジャンル拡大は

――2点お願いします。まずユーザベース社の今後の投資とM&Aについての戦略について。それから経済には硬いイメージがあるため、NewsPicksをファッションといった経済以外の分野に拡大する予定はあるのかということです。
新野 ありがとうございます。1つめの質問は私から答えさせていただきます。
ユーザベースの今後の投資ですが、第一の主体となるのは人員への投資です。これまで内部の投資に回してきたことによって成長してきています。今後も人員に投資することで、よりよいプロダクトを作っていきます。
人員の内容は、大きく3種類に分けられます。1つめは技術者。2つめは、NewsPicks なら記者、SPEEDAならアナリスト、つまりコンテンツを作れる人員、そして3つめがそれ以外の営業、マーケティング、管理部門の人員です。ほぼ全てを内部に抱え、自分たちの手で推進していることが当社の強みです。
単なる技術会社でなく、コンテンツだけを作っている会社でもなく、その両方があることが組織上の強みとなっていますので、今後もバランスよく拡大していきたいと思います。
海外については、すでにSPEEDAでアジアに進出しています。さらにこの後、NewsPicksは米国での進出も検討段階に入ってきております。
M&Aについては、上場した意味合いの1つでもありますが、内部から成長することを主軸にしながらも、常に良いところを探して、成長に資するものがあれば果敢にやっていきたいと思っています。すでに上場後、M&Aを行い、1月に子会社化した企業(株式会社ジャパンベンチャーリサーチ)があります(発表資料)。
2つめのご質問は、梅田の方からご回答します。
代表取締役社長(共同経営者) 梅田優祐(以下、梅田)  ご質問ありがとうございます。我々のミッションは「経済情報で、世界をかえる」で、経済情報という領域に最も大きな非合理がある、ということが出発点です。
決算説明会資料より
経済情報をテクノロジーと人の力で整理・分析・創出する、それが我々の進むべき道ですので、そこから出ないことは最初から規定されています。ですからご回答すると、柔らかい芸能情報やファッションといった分野に行くことは考えていない、ということになります。
ただ、経済という領域について、先ほど「硬い」というご指摘がありましたが、そこは問題だと思っております。もっと分かりやすく、もっと身近なものにしていくということは我々の役目で、改善すべき点であり、成長余地でもあると思っております。
※注:2017年4月1日付けで、梅田の役職は取締役 CCO (チーフクリエイティブオフィサー)となっております(発表資料)。

SPEEDAの世界展開、NewsPicksの人材事業は

――2つありまして、まず、SPEEDA事業がアジア中心とのことでしたが、それは提供している情報ソースそのものがアジアに特化したという意味なのか、スケールはそのままで営業戦略を変えれば世界展開を狙えるものなのか伺います。それからNewsPicksのリクルーティングのコンテンツについて、広告掲載する事業に留まっているのか、人材紹介のような成功報酬型なのか教えてください。
新野 SPEEDA事業の海外戦略は、マザーマーケットである日本をまず押さえ、次にアジアの情報に特化し、アジアのマーケットをおさえるということにしています。SPEEDAは世界中の上場企業の情報をカバーしていますが、まずアジアに徹底的にフォーカスし、販売力、データ、コンテンツ、機能を強化していくことに集中しています。
その心は、今後欧米に出て行くときに、アメリカは世界市場の半分を抑えているような大きな市場ですが、一方で競合がひしめくマーケットでもあります。そこでは明確な強みがなければなりません。
特に、初期の段階は金融機関、コンサルティングファームといったプロフェッショナルがクライアントになってきます。そうした企業は3~5つのサービスを契約しており、常に比べることでサービスを選んでいきます。そこにおいて、SPEEDAはアジア情報に強いという強みがはっきりしていることが大切だと考えます。
現時点でも香港とシンガポールにおいて、アメリカの企業からSPEEDAの引き合いが結構来ています。それは、香港やシンガポールの金融機関やコンサルティングファームに「アジア企業の情報リサーチにおいて良いサービスはないか」という問い合わせがあり、それに応える形でSPEEDAを紹介していただいているというものです。
アジアの世界的なプレゼンスが上がっていく中で、アジアの情報はますます求められてきますので、アジア情報に強いSPEEDAの立ち位置が非常に有効と考えています。
2つめの質問については、梅田からご回答します。
梅田 NewsPicksのリクルーティングサービスにつきましては、現状は成功報酬型というものをやっております。企業様が求人を出すところで広告の掲載料が発生し、求人を見たNewsPicksのユーザー様が応募し、企業様が応募者を面談し採用が決まった段階で、我々の方に成功報酬が入るという形です。
ですからサービスは広告の掲載料、採用できた場合の成功報酬が組み合わさって収益になっています。

総会終了後は株主懇親会を開催

新野 それでは議案の採決に移らせて頂きたいと存じますが、ご賛同いただける株主様は拍手をお願いいたします。
(議案の採決が行われ、全ての議案が承認されました。)
新野 以上を持ちまして、本日の議案は原案通り承認可決されました。ありがとうございます。本日の会議の目的事項は全て終了いたしましたので、本総会は閉会といたします。
この後10分程度の休憩を挟みまして、株主懇談会のお時間を設けております。私をはじめ当社の社員や役員も参加いたします。皆さまにもぜひご参加いただけますと幸いでございます。
株主の皆様、ご参加ありがとうございました。