成功の秘訣を尋ねると、高い目標を実現した多くの起業家や企業幹部は同じアドバイスを口にする。後編も引き続き、トップの座に就いたリーダーたちが日常的に行っている習慣について語る。

トップリーダー20人が明かす「成功に導くシンプルな習慣」(前編)

11. 自由に思考する時間をとる

「これは、具体的な何かについて考える時間をとるという意味ではなく、ただ考える時間をとるということだ。私は会議室に閉じこもり、電話にも出ないようにする。窓から外を長め、自分の心を自由に漂わせるのだ。
子どものときは、誰もが自然にこのようなことをしていた。大人になると、さまざまな理由でこうした行動をやめてしまうことが多いが、そのために素晴らしいアイデアが潜在意識から湧き出る大きなチャンスを逃している。
人は何かに集中する傾向がある。私たちが今日あるのは、おそらくそのためだ。だが集中すれば、当然ながら思考の範囲が狭くなる。
ビジネス上の問題の多くがますます複雑になり、急速に変化している今、私たちはシンプルに心をオープンにすることを学び直す必要がある。30分の時間を使って、思いつくままに自由でクリエイティブな思考をするのだ。
これは必ずしも簡単な行為ではないが、私はこれなしに仕事をすることができない」
──企業がリスクを減らしながら革新的な取り組みを行えるように支援するソフトウェアベンダー、Micro Focusの戦略担当バイスプレジデント、ジェフ・ウェブ

12. 瞑想によって集中力と創造性を高める

「私は1日の始めに1時間瞑想をする。これは数年前から続けている日課だ。1時間静かに座り、どのようなことにも反応せず、自分の呼吸、思考、感覚に意識を集中する。
瞑想は、心を自分で調節できるように訓練するエクササイズであり、気を散らされることなく1つのことに意識を集中できる能力を高めるものだ。
瞑想を学ぶメリットはたくさんある。集中力や認識能力が高まったり、全体的な満足感を得られたりする。瞑想をすれば、潜在意識下にある考えやアイデアが浮かび上がり、自分の心が持っている大きな可能性を利用できるようになるのだ。
こうした集中力と自己認識力は、私をより優れたリーダー、よりよい仕事仲間、よりよい人間にしてくれる」
──未知のサイバーセキュリティ上の脅威を検出する高度な分析テクノロジーを開発するE8 Securityの共同創設者兼CTO(最高技術責任者)、ラビ・ディバイアディ

13. 全体像についてじっくり考える時間を毎週確保する

「長い1週間が終わり、次の1週間が始まる前に、今いる場所から一歩離れ、ビジネスの最終的な目標について熟考したり、会社の成長、個人の成長、キャリアの進展についてよく考えたりすることが大切だ。
 1週間の間に、毎日の仕事に忙殺され、全体像を忘れてしまうことはよくある。だが週末は、自分の目標やこれまで達成してきたことについて考えを巡らすための理想的な時間だ。
じっくり考える時間を確保すれば、自分の目標が変化したことに気づき、戦略を手直ししたり、軌道修正を行ったりできる。そうすれば、いつも正しい方向に進めるようになる」
──アイテム追跡プラットフォームを手がけるTrackRの創設者兼CEO(最高経営責任者)、クリス・ハーバート

14. 自分の直感を信じる

「最後まであきらめることなく、集中力を保ち、行動を起こし、自分を信じよう。
これは単純なアドバイスのように聞こえるかもしれない。だが、1日の間に気を散らされることが何度も起こると、私たちは本来進むべき道と異なる方向に追いやられてしまう。
この基本的なアドバイスに立ち返ることで、つねに生活と仕事を前進させ、正しい方向に進むことが重要なのだ」
──デジタルデータのバックアップとシェアが可能なストレージソリューションとデバイスのプロバイダー、Western Digitalのクライアント・ソリューション・ビジネス部門のマーケティング担当バイスプレジデント、スベン・ラスジェン

15. 手本を示す

「セキュリティ侵害は、今や日常的に起こっている。個人の生活においても、職場でもだ。最近のデータによれば、セキュリティ侵害の80%がエンドユーザーの不注意が原因で起こっている。
企業のリーダーとして、私は個人の日常的な習慣の手本を示し、サイバーセキュリティに対する意識を自社のDNAに植えつけようとしている。
私が行っているサイバーセキュリティ対策は、健全な利用習慣のお手本的なものだ。たとえば、複雑なパスワードを作成する、パスワードを頻繁に変更する、パスワードを絶対に人に教えない、ノートPCなどのデバイスをワイヤーでロックするといった対策をとっている。
また、自分の周囲の状況に常に気を配るようにしている。それだけでなく、セキュリティをテーマにした楽しい動画シリーズを制作して、スタッフをさらに教育したり、警戒を怠らない雰囲気を作り出したりしている。手本を示すことはとても重要だ」
──セキュリティ企業Palo Alto Networksのマーク・アンダーソン社長

16. チームの声に耳を傾ける

「まずは、耳を傾けよう。従業員はあなたよりもビジネスのことをよく知っている。最前線に立って顧客に対応し、製品やプログラム、オペレーションを手がけているのは彼らなのだ。
私は毎日、従業員の声を聞きに行くことにしている。顧客が何を考え、競合他社が何を行い、自社のプログラムがどのような状態にあるのかを把握するためだ。
耳を傾ければ、確実により多くの情報が得られる。そして、自分のチームがますます熱心に仕事に取り組み、価値の高い仕事をするようになるのだ」
──アプリケーションとデータの配信を安全に、機動的に、かつ最適にする取り組みを行うソフトウェア企業Citrixのシニアバイスプレジデント兼CMO(最高マーケティング責任者)、ティム・ミハナン

17. たくさんの問いを立てる

「私は毎朝と毎晩、モーニング・トライアングル、イブニング・トライアングルと自ら名づけた活動を行っている。
モーニング・トライアングルでは、3つの質問についてじっくり考える。自分の強みはどこにあり、その強みをどのように利用できるか。自分の弱点はどこにあり、その弱点をどのように利用できるか。そして、もっとハードに働けるようにするにはどうすればよいかという質問だ。
イブニング・トライアングルでは、さらに3つの質問について考える。どうすれば自分の会社にもっと貢献できるか。どうすればチームのメンバーをもっと大事にできるか。どうすれば自社の製品を改善できるかという質問だ」
──クラウドベースの動画コミュニケーション製品を手がけるZoomのエリック・ユアンCEO

18. 画面に気を取られない環境を作る

「私がたくさんの時間とお金を費やして新しいオフィスを開いた理由の1つは、もっとフェイス・トゥ・フェイスで同僚と話したりやりとりしたりできるようにすることだった。
だが私は、オフィスの席に座っていると大きなディスプレイがいつも目に入り、そこに表示されるメールやアラートに気をとられてしまうことに気づいた。モニターに注意をそがれてしまうことで、週末の予定についての気軽なおしゃべりも次の製品リリースに関する重要な話も中断してしまっていた。
このことに気づいた私は、モニターをデスクの端に移動し、目の前に座らないかぎりモニターが見えないようにした。これは簡単な解決策で一切お金をかけていないが、今では自分のデスクの75%を使って100%集中できるようになった」
──旅行かばんを手がけるRuMeの共同創設者兼CEO、ジェイ・S・リー

19. スタートレックモードに入る

「現代は、ビジネスの動きがあまりに速い。そのため、合理的な決断を下すために必要な調査データをすべて集めることはできない。
そんなとき、私はスタートレックモードに戻る。私の大好きなエピソードの1つに、カーク船長と他のメンバーが互いの心を読みとれる惑星にいるときの話がある。
カークとメンバーが分かれ道に差し掛かったとき、カークは左に行くようにメンバーに言った。そのメンバーはカークにその理由を尋ねた。なぜなら、右の道より左の道のほうがよいことを示す情報は何もなかったからだ。
それに対してカークはこう答えた。ときには決断を下し、自分の勘を信じることが必要なのだと。
企業家である私たちは、チャンスが自分に味方してくれていると感じることがたびたびある。そんなときには自分の直感を信じるべきだ。もちろん、さまざまな方法でA/Bテストを行えればさらに良い」
──ビジネスファイナンスソリューション企業Bizfiのジョン・ドノバンCEO

20. 自分の創造性に自信を持つ

「仕事を始めたばかりの頃の私は、自分の身の丈を超えるような困難に挑むときに、自分の考えが甘いかもしれないと考えることがあった。
だが、損失を被るリスクについてはそれほど深く考えず、失敗をもたらしかねないやり方をすべて調べることもなく、代替のプランを作っておくこともなかった。
今では、当時の自分が甘い考えを持っていたわけではないことがわかる。私は自分の創造性に自信を持っていたのだ。
最終的なソリューションがどのようなものになるか最初はわからない場合でも、私はすばやくテストをし、結果を測定し、そこから学び、走り続けながら調整できた。
逆説的に聞こえるかもしれないが、創造性を信じることができるのは、私よりはるかに優れたスキルを持ち、どのような問題でも解決できるような人たちでチームを構成したという謙虚さのおかげだった」
──企業の変革を実現するために従業員にフォーカスしたソリューションを手がけるHaufeの米国支社CEO、ケリー・マックス
原文はこちら(英語)。
(執筆:Christina DesMarais、翻訳:佐藤卓/ガリレオ、写真:PongsakornJun/iStock)
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This article was produced in conjuction with IBM.