アングル:金融庁の新行政手法、銀行は経営方針や人事への介入を警戒
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今の金融庁の基本的な考え方は、ルールをなるべくなくし、原則に基づく検査・監督を行う事で、金融機関が自主的に様々な取り組みを促すことにあります。一見聞こえは良いですが、記事で指摘されている当局側の裁量の問題に加え、金融機関側も全てが全て自分の頭で考え、応用できる力が備わっているわけでは必ずしもありません。
そうした点を踏まえれば、ある程度のルールを示すことは不可欠です。これは行政のためでもあります。検査・監督を担当する人間のほとんどは金融機関の現場の経験はなく、実務を知りません。そんな中で何もなしに建設的な対話が期待できるかと言えば、答えは明らかです。
金融危機の前、イギリスにはFSAという政府にも中央銀行にも属さない金融監督機関がありました。FSAはルールではなく原則に基づく監督を実施しましたが、結果、金融機関の実態を把握できず、金融危機で公的資金を注入せざるを得なくなり、最終的に解体され中央銀行の中の組織となりました。
理想と現実は違います。また、いつどこで危機が再来するかを予測できない中、常に備えておくことは金融システムの安定を担う監督当局側の普遍的な責任でもあります。こうした点も踏まえたあるべき検査・監督のあり方を今後検討してもらいたいです。