(Bloomberg) -- ラスベガスをはじめ米国のカジノに約1万台のスロットマシンを販売するコナミホールディングス(HD)の坂本哲専務は、日本で健全なカジノ関連の法整備が進んだ場合、同市場に参入し米国を上回るシェア獲得を目指す方針を明らかにした。関連法の整備は規制の厳しいネバダ州に倣うべきだと述べた。

ブルームバーグとの3月30日のインタビューで坂本氏は将来、国内のカジノ市場でカジノ関連機器を販売するなら、同社は「米国プラスアルファ」のシェアを狙うと語った。コナミHDは1996年にカジノ機器の製造・販売を開始。スロットマシンでは米国で約12%のシェアを握る。20年余りカジノ事業に携わってきた同氏は、日本参入の際には統括者になる予定だ。

カジノ運営などを規制する統合型リゾート(IR)推進法案が昨年12月に可決された。政府は安倍晋三首相を本部長とする推進本部を設置し、1年以内のIR実施法の国会への提出を目指している。同時にギャンブル依存症対策の検討も進めているが、3月末に論点整理をまとめたばかりで本格的な議論はまだこれからだ。

コナミの坂本氏は、カジノをはじめレストランやホテルなどの娯楽収入で日本のIRは40兆円の市場になり得ると予想。その上で、カジノ運営会社を含む内外の関連企業を招致し、日本で健全な市場を育てるためには、公正で透明なルール作りが重要で「ネバダのやり方を見るべきだ」との考えを示した。

個人まで徹底調査

坂本氏によるとネバダ州では、カジノの管理機関は500人規模の調査員を抱え、企業のカジノ関連ライセンス更新する際、違法行為の有無などについて運営会社の社長や取締役、最高財務責任者(CFO)に加え、その取引先企業などの株式5%以上を所有する個人までも「徹底的に調べる」。坂本氏の配偶者の資産までもが調査対象になったという。

「一番大事なのは、ネバダ州レベルのコンプライアンスやルールを作ること」と坂本氏。日本の法整備について、世界的にも基準が厳しいネバダ州並みの規制とすれば、米国を中心に事業を展開するカジノ運営大手なども参入しやすくなるとみている。同社はその際には運営会社としてではなく、顧客の日本市場進出を手助けする立場をとるという。

政府の依存症対策案では、場外馬券売り場にある現金自動預払機(ATM)で借金できないようにしたり、本人や家族申告による入場規制を講じたりする必要性などが示された。

若年層もターゲットに

坂本氏は、日本に参入する際にはスロットマシンのほか、複数人が競い、結果を友人などとシェアできるなど若年層にも好まれるようなカジノ関連機器などを導入したい考えを示した。日本での事業開始時期は法整備の動きを見極めた上で決める方針だ。「森友学園」など国会では問題が山積しているため、IR実施法案の成立は来春に持ち越される可能性が高いとみている。

コナミはカジノ事業では、米MGMリゾーツ・インターナショナル(MGM)、マレーシアのゲンティン・グループ、米ハードロック・インターナショナルなど運営大手を含む約400の顧客を抱える。関連機器販売のほか、カジノ施設に機器をリースして運営者と利益をシェアするビジネスモデルも展開している。

カジノ関連機器を扱うゲーミング&システム事業は2016年3月期の業績で売上高が343億円。パチンコ機器を扱う遊戯機事業の約3倍だった。利益貢献は稼ぎ頭のデジタルエンターテインメント事業に続く。

コナミ株の3日午前終値は前週末比0.1%安の4720円。

(株価動向を追加、第3段落で名前を訂正済みです.)

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