[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は21日、3月の理事会の議事要旨を公表した。この中で、過熱する国内住宅市場のリスクの高まりを指摘し、金融政策を一段と緩和する可能性が低いことを強調した。

また、政策金利の据え置きが成長およびインフレ目標と合致するとの見解を示した。

中銀は3月の理事会で政策金利を8カ月連続で過去最低の1.5%に据え置いた。

議事要旨では、中銀が鉱業投資ブームから移行しつつある豪経済について、おおむね楽観していることが示された。理事会メンバーは、経済成長は緩やかに加速し、今後2年で潜在成長率を上回ると予想。

一方で、住宅投資用の借り入れが増え、シドニーとメルボルンで住宅が急騰したことから、住宅市場の「リスクの高まり」が見られたと指摘。

債務は家計所得を上回るペースで増加しており、高水準の債務を踏まえると、所得の伸び低迷で消費が抑制される可能性があるとした。

また、住宅市場の監督強化は銀行による融資基準の「ある程度の」厳格化につながったとの見方を示した。

中銀は、豪ドルの上昇が鉱業主導の成長からの移行を難しくするとあらためて警告。弱い賃金指標やパート労働者への偏りが見られる中で、労働市場の勢いを評価するのは依然困難とした。

中銀のロウ総裁は、追加利下げに否定的な立場を繰り返し示しており、金融市場は年内の追加利下げの可能性をほとんど織り込んでいない。一部の投資家の間では、2018年初めの利上げ観測も浮上している。

コモンウェルス銀行(CBA)のシニアエコノミスト、ガレス・エアド氏は「ロウ総裁が利下げという考えを受け入れるには、雇用創出の勢いが継続的に衰えるか、もしくは、住宅価格の下落が確認されることが必要だ」と指摘。「そのどちらも我々の主要シナリオにはないため、政策金利は年内と2018年に入っても据え置かれる」との見方を示した。

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