[フランクフルト 20日 ロイター] - ドイツ連銀が20日公表した月報で、リスクに対する投資家の警戒姿勢を背景に、欧州中央銀行(ECB)の資産買い入れで供給された資金がドイツ国内で再投資されずに積み上がっていることが分かった。

ECBはユーロ圏の成長支援およびインフレ押し上げのため、大量の資産買い入れを実施しているが、供給資金はしばしば外国投資家が保有するドイツ国内の銀行口座に入り、そのまま滞留している。

そのため、ユーロ圏の中央銀行間決済システム「ターゲット2」では、ドイツの純債権が2月に過去最高の8140億ユーロ(8751億3000万ドル)に増加した。

一方、同じ2月のターゲット2におけるイタリアの債務は過去最高の3861億ユーロだった。

イタリア中銀は債務の増加について、イタリア国民が自国の国債を売って貯蓄の大半を外国資産に回していることやECBによる資産買い入れが主な理由としている。

独連銀の月報によると、ユーロ圏諸国の債券利回りはドイツより高い傾向があるにもかかわらず、資産の売却資金は他国に再投資されていない。

これはドイツ以外の国に対する投資家の消極姿勢の表れで、ECBの刺激策の有効性に対する疑問を提起している。

連銀は月報で「資産買い入れのこうした2次的効果がドイツを含む一部の国で生じていないことは注目に値する」と指摘している。

ECBはこの件に関するコメントを差し控えた。