移動で地域の未来をつくる「あいあい自動車」
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経営学者の言い分というのは得てして「後知恵」的講釈になりがちですが、今回はいい意味で発展途上の、というか芽吹いてこれから伸びて行くであろう社会的イノベーションの生まれたての状態について、お話を伺えたと思います。でもその段階で既に、この事業は深い構想が鍛えられ、工夫も積み重ねられている。どういう人材、組織がそれを可能にするのか。皆様に是非読んでいただければと思います。
(3月17日付記 この記事、日本交通の川鍋さんが「本物!」とコメントしてくださったこと、とりわけ嬉しいことです。ありがとうございます。川鍋さんとは一度、三日月滋賀県知事が議員をされていた時の勉強会で大勢の方がいらした中でちょっと御挨拶をしたことがありますが、後でお名刺を見て、あんなお若く見える方があの日本交通の川鍋さんだったの?と驚いた覚えがあります。交通ビジネスで様々な見方、立場もありましょうが、こころざしのレイヤーで共鳴してくださったのでしょうか、本事例を紹介した私としてもとても嬉しいです。ありがとうございます!!)面白い試みですね。
・社会の高齢化
・地方都市のスプロール化
という社会変化の中で、交通弱者をどのように社会がサポートすればよいのか、ラストワンマイルをどうすればよいのか、と言う問題です。コミュニティバスや200円タクシー、タクシークーポン、乗り合いサービス、ライドシェアなど様々な試みがありますが、どこの街も試行錯誤です。特にタクシー事業は典型的な規制産業なので、新しいビジネスモデルが受け入れられるのはハードルが高いです。
街のコンパクト化、機能を絞り込んでネットワーク化、というのが国交省の長期国土利用の方針です。しかし、中心市街地に集約する金銭インセンティブだけでは移住は進みません。隣町との住民の奪い合いになります。さらに農村部では集落の撤退の問題もあります。
富山や宇都宮(予定)のようなLRTの導入や、八戸のように路線バスの整備と定期運行で求心力とネットワークを取り戻そうという公共交通志向型開発(TOD)という考え方もあります。
この事業のカギは、リクルートではなく、金澤さんと言う方を地域の方々が信用して、自分たちの事業としてやっているところだと思います。数値化できませんが、ここが重要な分かれ目で、単にビジネスモデルを真似してもうまくいかない難しさがここにあります。
タクシーチケットの高齢者への配布や、コミュニティバスは、公的資金を投入するのが普通で、つまり公益性の高いインフラ事業として、道路に近い扱いで考えるということです。税金なので、地域住民の理解が不可欠でしょう。
今後は高齢女性の免許取得率がぐっと上がっていく時代になり、こうしたタクシー事業はますます難しくなります。
社会にとっての移動の価値をどのようにバランスしていくのか。先祖代々の場所に住み続ける価値をどう扱うのか。国土利用計画の難問に我々は挑戦し続けなければならないでしょう。事業を興す力として、本記事の学びは、リーダーが事業を考えるにあたり考えるべき、人材の考え方です。
さらに本文に登場するリクルート金澤さんと中嶋さんのお互いリスペクトしている感じも伝わってきますね。
>事業を大きくしていくには、「共感」の力が必要です。売上はどれだけの人に支持をしてもらえているかを計る指標でもあります。そして、そこから利益を生み出すのは「理屈」の力であると考えています。