[東京 28日 ロイター] - 経済産業省が28日発表した1月鉱工業生産指数速報は前月比0.8%低下となった。ロイターの事前予測調査では前月比0.3%上昇と予想されていたが、発表数値は予測を下回った。前月比での低下は6カ月ぶり。

2月予測指数は持ち直すものの、3月の生産計画が大幅に低下、経済産業省では2月までの生産は堅調ながらも3月以降は推移を慎重にみる必要があるとしている。

1月の生産は幅広い業種で低下し、昨年12月に100を超えた生産水準も再び99.8となった。特に低下幅が大きかったのが乗用車や自動車部品、運搬機械など。他方でこのところ電子部品・デバイス工業は好調で4カ月連続で上昇している。出荷も堅調で在庫調整も進展、全体を下支えしている。

出荷は前月比0.4%減、在庫は同0.0%となった。

1月の生産が減少に転じたのは、実質輸出の伸びが一服したことなどが背景とみられる。ただ、円安と世界経済の回復を追い風に増産傾向が続いており、引き続き輸出環境が下支え要因になると予想されている。

ただそれが確認できるのは2月まで。生産予測指数は2月が前月比3.5%上昇、3月が同5.0%の低下となった。経済産業の試算では2月は誤差を調整すれば実際には1.1%程度の上昇となり、1月の低下幅を相殺できそうだ。しかし3月については生産計画が現段階ですでに大幅な低下となっている。特に受注生産が中心の機械工業は8カ月ぶりに前年同月比を下回る計画となっており、資本財全体も同様となっていることから、経済産業省では今後の推移をよく見る必要があると慎重な姿勢を示している。

もっともエコノミストからは楽観的な声が多い。「今年前半は経済対策の効果が下支え役となり、底堅く推移するとみられる。一方で、トランプ米大統領の打ち出す経済政策も景気刺激的なものとなるとみられ、保護主義が世界貿易を収縮させることへの懸念は残るものの、世界経済の回復傾向は保たれるだろう」(農林中金総研)など、持ち直しの基調は維持されているとの見方が目立つ。

*内容を追加します。

(中川泉 編集:)