中国大手の上海百聯集団と提携

中国のeコマース大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)は現在、中国大手スーパー・百貨店チェーン、上海百聯集団(シャンハイ・バイリアン・グループ:以下バイリアン)と提携している。
アリババのジャック・マー会長は、旧態依然とした小売業界をテクノロジーを活用して一新する計画だ。
アリババは、バイリアンが中国全土に展開する4700店舗のうち一部のアップグレードを支援し、顧客窓口、支払い、ロジスティクスなどのすべてを統合する計画だ。
アリババはこれまでも、家電小売チェーン蘇寧電器(スニン・コマース・グループ)をはじめとするほかの提携先と同様の提携を行ってきた。
中国でイーベイやアマゾンを負かした巨大オンライン企業アリババは、4兆ドル規模とされる中国内のリアル小売店舗市場を変革するため、自社のデータと技術を利用しようとしている。
アリババは百貨店チェーン銀泰商業集団(インタイム・リテール・グループ)を26億ドルで買収する話を進めているが、これは、オールド・エコノミーとの取引としては同社最大となる。

4700店舗のネットワークを活用する

巨万の富を持つマー会長は、店舗やブランドがその場でトランザクションをモニターできるようなネットワークの構築を望んでいる。何段階もの卸を省いて、小売店舗がオンラインでリアルタイム注文できるものだ。
匿名の情報筋によれば、『中国証券報(China Securities Journal)』紙がアリババとバイリアンの提携について報じた後、2月20日の上海株式市場でバイリアン株は10パーセントの値幅制限まで急騰した。
アリババのダニエル・チャンCEOは電子メールによる声明で「われわれとバイリアンの提携は、リアル市場とバーチャルな市場の境目がなくなりつつある中国の小売市場の発展において重要な節目となる出来事だ」と語った。
アリババは、中国25の行政区に広がるバイリアン4700店舗のネットワークを利用する。
杭州に拠点を置くアリババは、インタイム以外にもすでにスニンや三江購物倶楽部(サンジャン・ショッピング・クラブ)などの小売業者に投資しており、いわゆる新しい小売手法をさらに押し進めようとしている。

ジャック・マー会長の新たな小売構想

アリババはバイリアンに資本参加する意向はない。しかしアリババがメールで明らかにしたところによれば、2社は自分たちの顧客データベースを統合し、顔認識技術を使って購買者の体験を向上させる計画だという。
アリババのオンライン決済システム「Alipay」は、バイリアンの全店舗で利用可能となる。アリババの配送を担う関連会社、菜鳥網絡科技有限公司(カイニャオ・スマート・ロジスティクス・ネットワーク)はバイリアンと協力し、システムをより効率的にするプロトコルを具体化する。
米国のeコマース大手アマゾンも、昔ながらの購買経験をテクノロジーによって変えようと力を入れている。
同社は2016年12月、新しいリアル店舗「Amazon Go」を発表した。シアトルにあるAmazon Goの店舗では、買い物客は食料品を手に取った後、レジに並ぶ必要がない。店を出るときに自動で課金される仕組みだからだ。
アマゾンもアリババ同様、顧客とサプライチェーンに関する貴重なデータや買い物パターンなど、膨大な情報から得た幅広い経験がある。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Lulu Yilun Chen記者、翻訳:翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:© 2017 Bloomberg L.P)
©2017 Bloomberg News
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