【鳩山×鎌田】なぜ今、インフルエンサーマーケティングか

2017/2/15
現在、米国では「インフルエンサーマーケティング」への注目が高まっている。なぜ今、インフルエンサーマーケティングの勢いが増しているのか。日本でも同じトレンドとなるのか。そして、企業や個人はインフルエンサーマーケティングをどう活用すべきなのか。

元サンリオ常務取締役の鳩山玲人氏が、ユーチューバーのマネジメントを行っているUUUM代表の鎌田和樹氏とともに日本へのヒントを考える。

インフルエンサーマーケティングとは

鳩山 「インフルエンサーマーケティング」という言葉をウィキペディアで検索してみると、実は1940年代くらいから使われている言葉です。最初は政治の世界で影響力をどう民衆に伝えていくかという意味合いで使われていました。
ただ、近年ではその意味合いも少し変わってきています。
有名人やスポーツ選手、有名ブロガーのような、自身のブログやSNS、メディアへの露出などで商品やサービスを紹介することで、大多数の消費者に大きな影響力を発揮するキーパーソンによるマーケティングのことを指すようになってきました。
そういった背景があるなかで、鎌田さんのUUUM(ウーム)のようなユーチューバーをマネジメントする会社の存在感が高まってきています。NewsPicksのプロピッカーもインフルエンサーマーケティングの一例かもしれません。
海外ではインフルエンサーマーケティングがすごく進んでいて、今はスナップチャットではジェンナー姉妹(カイリーとケンダル)やハディッド姉妹(ジジとベラ)がどうアクションするかがポイントになってきています。
カイリー・ジェンナーと、その恋人であるラッパーのタイガ。ジェンナー姉妹はリアリティ番組をきっかけにスターとなった(写真:Monica Schipper/Getty Images for New York Fashion Week: The Shows)
2000万人のフォロワーがいるカイリー・ジェンナーの方がレディ・ガガよりもソーシャル上で影響力を持つといわれるほど、世代交代もおきている時代なのです。
しかし、10年前は少し意味合いが違いました。
昔はアメリカのCMでは芸能人は絶対に使いませんでした。芸能人はイメージを保つために何か広告に出るというのは、極めて例外的で、せいぜいハイファッションのブランドや化粧品くらいでした。
それが、いまはインフルエンサーがどうアクションするかで消費が全然変わってしまいます。SNSなどでインフルエンサーと消費者の距離が短くなったので、みなその近さに慣れたのです。
この流れは私が翻訳を担当した『ブロックバスター戦略』にも書いていますが、結局は影響力のある人がやっていること、見ているものが注目され、そのコンテンツが結果として認知が高くなり影響力が増すわけです。
鳩山玲人(はとやま・れひと)
1974年生まれ。鳩山総合研究所代表取締役。スタンフォード大学客員研究員。元サンリオ常務取締役。青山学院大学を卒業後、三菱商事に入社。2008年にハーバードビジネススクールでMBAを取得。同年、サンリオに入社。サンリオで海外事業を拡大し、サンリオメディア&ピクチャーズ・エンターテインメントのCEOとして映画事業にも従事し、2016年6月に退任。DeNA、LINE、ピジョン、トランスコスモスの社外取締役を歴任。現在、シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるSOZO VENTURESのベンチャーパートナーや、YouTuberを束ねるUUUMのアドバイザーも務めている。