【解説④】1兆円損失も。まだある東芝の「リスク」と、その共通点

2017/2/17

誤算だらけの買収

「騙されたのですか」
2017年2月14日、原発事業の7125億円の減損を発表した会見で、記者にこう問われた東芝の原発事業トップの畠沢守常務は、一瞬押し黙った。そして、「それは、我々が答えることではありません」と振り絞るように答えた。
それは、原発子会社ウェスチングハウスが、米エンジニアリング会社CB&Iから原発部門ストーン&ウェブスター(S&W)を買収した経緯のこと。
誤算の一つには、買収価格の事後調整で、CB&Iに損失を埋め合わせてもらえると思っていたのが、逆に、結局訴訟になり、さらに6700億円にも上る事業コストの見積もり増が発生したことがあった。それこそ「騙された」との気持ちがあるのかもしれない。
買収しなければ、訴訟費用はかかっても、ここまでの巨大損失は発生しなかった可能性がある。なぜ、そんな会社を買ってしまったのか。
「CB&Iの財務諸表や資料を見て、それを信じて判断した」とだけ畠沢氏は答えた。

数ある東芝のリスク

だが、近年の東芝の買収事案を見ると、むしろ「誤算」ばかりが続いている。