あなたはどんな未来に取り組もうとしているだろうか。扉を開けて、最も勇敢な自分を引き出し、最大の課題に向かって未知の世界に飛び込むのは簡単ではない。イーロン・マスクの継続的な学びの精神や世界への好奇心を会得し、本当のスタートが切れるまで、スタートをし続けよう。

誰よりも大きなことを考える

起業家で発明家のイーロン・マスクは、リスクを物ともしない勇敢なリーダーだ。環境にやさしい自動車の開発から宇宙旅行の実現まで、大きなことを考えるのを好む。
世界の大問題に取り組むどんなリーダーと比べても、マスクの野望の大きさは群を抜いてる。週に100時間働き、推定110億ドルの資産を持つ彼は、まるでコミック『アイアンマン』のヒーロー、トニー・スタークのようだ。
イーロン・マスクのように考え、行動するにはどうすればよいのか。そのための近道は次の三つだ。

1. 賢く失敗する

マスクは我が道を行き、堂々と自分らしく振る舞う。しかし、彼の根底には謙虚さがある。間違っても構わない。失敗してもいい。失敗しても、それで価値のない人間になるわけではない。CNNのインタビューに答えて、彼は次のように話した。
「テスラとスペースXの事業を始めた時、両方とも成功の確率は50%未満だろう考えていた……万事がうまくいくと確信していたのではなかったのだ。だが、こう考えた。『まあ、うまくいかないかもしれないが、やってみる価値はある。やってみてどうなるかが、重要なのだから』」
不確実な分野に入っていく時には、失敗は避けて通れない。
私は最近、コロンビア大学ビジネススクールのリタ・マグレイス教授が「賢く失敗する」ことについて情熱的に語るのを聞いた。そこでの重要なメッセージは、不確かな環境では失敗の確率を気にするのをやめること。なぜなら、安く済むならたくさん失敗してもよいのだからということだった。
よく言われるように「早めに、安く失敗し、次に進む」のだ。
賢く失敗するには、簡単な三つのルールに従えばよい。一つ目は「成功がどのような形であるかを知り、どのような形ではないかを知ること」。何に注意を向けないかを決めれば、不確実性は減少する。
二つ目は「仮説を知識と学びに変えること」。ただ自分の正しさを証明しようとするよりも、そうするほうがずっと賢明に時間を使える。
そして三つ目は「学んだことを『アフター・アクション・レビュー(AAR)』のプロセスで体系化し、共有すること」。AARは米陸軍が継続的な学びを促すために開発したもので、次の問いが投げかけられる。(1)何が起こると考えていたか。(2)実際に何が起こったか。(3)何を学んだか。

2. さざ波を理解する

あなたは、業界や事業を良くも悪くも破壊し得る、さまざまなトレンドや変化、環境で舵を取れるだろうか。
マスクは「さざ波を理解する力」を持っている。つまり、池を行き交うさざ波のように、ビジネス環境がどう影響を及ぼし合うかを見ることができるのだ。
彼には鮮やかな想像力と徹底した集中力、世界やとくにビジネスについての強い好奇心がある。彼は言葉だけが勇ましいのではなく行動も勇敢で、今後影響を及ぼすさざ波を理解して、素早く整然と動く。
こうした力を伸ばすには、いつも暮らしている世界から一歩外に出て、自分が胸を躍らされるものだけでなく、夜中に気になって眠れなくなるようなアイディアやトレンドや問題についても考えてみることだ。
うまくいけば隠れたチャンスを予測し、他の人よりも早く、大きな波をつかまえられるかもしれない。

3. 10%ではなく10倍を考える

およそ人間が実現し得る以上の成果を上げるよう、自分自身に課題を課したことはあるだろうか。多くの人は10%や20%の成長を考え、10倍の成長は考えない。
マスクは大きく大胆に考える精神を持っている。それが10年以内のマラリア撲滅であろうと、宇宙旅行の実現であろうと。彼は未来に目を向け、実現されていない可能性を他人よりも早く見つけるのである。
10倍を考えるにはCEOである必要はないし、スタートアップ企業を運営する必要もない。大切なのはあなたを雇う誰かの夢を実現するのではなく、自分のビジョンをコントロールすることだ。
始めること、はっきりとした目標を持つこと、早めに失敗すること、アイディアを気軽にかつ頻繁に試してみること。そして、10倍を考える人は次の二つの信念を持っていると知っておこう。(1)昨日の考え方では問題は解決しない。(2)自分には目標を達成するための資源がある。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Terence Mauri/Author, "The Leader’s Mindset: How To Win In The Age of Disruption"、翻訳:東方雅美、写真:© 2017 Bloomberg L.P)
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This article was produced in conjuction with IBM.