【議論】サービスとお金。みんなに配るならどちらが有効か

2017/2/2

ベーシックインカムとの違いとは

波頭 井手さんの「みんなが受益者」という財政論は、前回のフォーラムで山崎元さんに報告してもらったベーシックインカム(BI)論と通じるものがあります。
ともに趣旨は同じですが、議論となるのは、みんなに現金で配るのか、サービス(現物給付)で配るのかの違いです。
山崎 確かにそれが大きな論点だと思います。受益者と負担者の関係は必ず残ります。受益の経済価値から負担の経済価値を引いたとき、どうしてもその収支がプラスになる人とマイナスになる人が出てきてしまいます。
それは簡単に計算できるから、負担超過が気になる人もいるでしょう。それでも、生活に必要なものはみんなが必ず受益できる制度があったほうがいい。
それを、もっともシンプルかつ効率よくやるためには、やはり現金給付のBIではないかと思います。
ですから、負担と受益の収支に対する個人の判断力をどう見積もるかという問題と、現金かサービスかという問題の2つがあると思います。
波頭 もう1点、サービス給付だと、そのサービスを必要とする人と、しない人の間に分断線が入ることもある。だから、一括で現金給付にしたほうがいいのではないかという考え方もあるでしょう。
たとえば、保育園や幼稚園へ通わせるサービスの場合、どういう子どもを対象とするかについて行政の恣意(しい)性が入るかもしれない。