[東京 12日 ロイター] - 富士ゼロックスの栗原博社長は、ロイターのインタビューで、売上高に占めるサービス事業の比率を現在の約4割から2018年度までに約5割に引き上げるとの意向を明らかにした。同社長は「ハードの売り上げを減らさずにサービス、ソリューション(の比率)を増やす」と述べた。

<紙の伸びは続くが単価は下落>

コピーやスキャナーといった機能を組み合わせた複合機などを製造・販売する事務機メーカーは市場の成熟化に直面。富士ゼロックスやキヤノン<7751.T>などの上位メーカーは、複合機などのハードと消耗品販売を通じて、国内ハイテク業界の中でも高い収益性を維持してきた。

ところが、スマートフォンやタブレット端末の普及で、オフィスでの紙の使用量がいずれ頭打ちとなり、減少の方向に減じるのとの見方が広がっている。

栗原氏は「ペーパーは減っていない」と一般的な見方を否定。「情報量が爆発的に増えている」などと理由を挙げた。同氏は「減っているのは、(コピー)1枚の紙の単価。紙の枚数が減ったとしても、影響を最小化するモデルに変えようとしている」と強調した。

現在は、売上高(15年度で約1兆1800億円)の約6割を占める事務機のハード・消耗品の販売と、顧客へのソリューション提供などのサービス事業の売上構成比を、「半分くらいに持っていくことを目指す」と述べた。目標は18年度としている。

<AIは実践の段階に>

IT各社が注力するAI活用にも自信をのぞかせる。画像処理や電子化文書を扱う技術、自然言語処理などAIと関連性の高い技術を蓄積してきたからだ。「技術をいかせる時代が来た。事例はだいぶ出ている」という。

具体的な取り組みとして、ある自動車メーカーへの提案で、AIがクルマの図面と各国の法律を照合して、短時間に問題点を指摘した事例を挙げた。

自動車メーカーにとって、輸出するクルマの図面と各国法律との適合をチェックする作業が負担になっているという。「それを当社に任せてほしいと提案。(プレゼン後)数時間で『これはすごい』」との反応があったという。

栗原氏はAIなどのノウハウの活用について、「事業には、もうひとつ工夫したり、ハードルを越えないといけない」と述べている。

(インタビュアー:浜田健太郎)

(浜田健太郎)