[マニラ 11日 ロイター] - フィリピン中央銀行のテタンコ総裁は11日、フィリピン経済は新政権下で軌道に乗っており、投資家はドゥテルテ大統領の激しい口調に怯えることなく、言葉より行動に着目するべきだと述べた。ロイターとのインタビューで語った。

中銀は必要であれば金融政策を見直す用意はあるものの、その緊急性はみられないとした。その理由として、物価上昇は統制できる範囲で経済成長も力強く、政府の改革計画と政策の継続性により支えられているためと説明した。

ドゥテルテ大統領の過激な手法への懸念について「重要なのは各自で雑音と事実を見分けられる力だ」と強調した。

テタンコ氏は「現政権は前政権が導入した政策や改革を維持または順守すると約束していることから、継続性が見込まれる」とし「(雑音の)音量は上がったかもしれないが、事実に目を向ければ今も経済はとても堅調だ」と加えた。

ドゥテルテ大統領のトレードマークといえる暴言は、特に自身が強い恨みを抱いている米国の投資家らを特に動揺させた。ドゥテルテ氏はフィリピンで事業を展開する米企業は自身の反米発言が気に入らなければ荷物をまとめて出るべきで、フィリピンに駐留する米軍は永久に不要との考えだ。

テタンコ氏は、政策金利については必要に応じて調整可能としながら、金融政策と財政政策の両側面において十分な余裕があると述べた。また、政府は「まだまだ遅れている」インフラへの支出を特に拡大することはできると指摘した。

フィリピン中銀は2014年9月に0.25%の利上げを実施して以来、政策金利は据え置いたままだ。昨年6月に金利コリドーに移行した際に、迅速かつ効率的に政策を変更できるように中心金利を3.0%に設定した。

中銀は今年、物価上昇に伴って金利を引き上げると予想するエコノミストもいる。野村証券は2017年前半で計0.50%の引き上げを予想している。

テタンコ氏はフィリピンが通貨ペソの「根底の潮流に逆らうことはない」 とし、中銀は米国の追加利上げ、国内政治や米国の新政権による保護主義的な政策から派生する可能性がある金融市場の変動にも対処するツールを備えているとした。

「必要なのは、変動の激しさが問題になり過ぎる前に管理することだ」と付け加えた。

テタンコ氏は、ドゥテルテ氏の劇場的な外交政策は誤解されてきたと述べた。ドゥテルテ氏の意図は、長期にわたる同盟国である米国との関係を遮断することではなく、貿易と投資関係の多様化を通じて経済を支援することにあり、それにより米国との結び付きは必然的に強まると述べた。

「中国にいわゆる基軸を置くことが、必ずしも米国を基軸から外すという意味にはならない」と述べ、これは「ゼロサム・ゲーム」ではないと加えた。

世界的に急成長を遂げる国のひとつの運営手腕が幅広く評価されている実務家のテタンコ氏は、ドゥテルテ氏から3回目となる6年間の任期延長を提示されているかどうかについて、コメントは控えた。

テタンコ氏は、法律上、中銀総裁の任期は2期までに限定されていると述べた。彼の2期目の任期は7月に終了する。

後任に関しては「仮定の質問だ」とした上で「中銀の経歴を持つ者であるべき」と述べた。