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コメント
注目のコメント
直近の欧州を見るにつけ道理に合わないものはいずれ崩れ去るということを見せつけられているようです。
ユーロという単一通貨を維持するためには少なくともギリシャをはじめとした最適通貨圏を形成するにあたって阻害要因の大きい国は切り離す必要があるでしょうし、またこれが仮にできたとしても現状で緊縮財政や金融引き締めをドイツが指向する限り加盟国の不満は募る方向に行かざるを得ないでしょう。
今年は欧州政治にとっては選挙年でそのすべてではないにせよEU、ユーロを維持するにあたって不都合な結果となる可能性が大いにあると思います。今年ですべてが決定づけられるというものではないでしょうが、体制の縮小か瓦解かに遅かれ早かれ向かわざるを得ないでしょう。インフレバブルの時は民間が十分過ぎるほど借金して投資して消費してくれるので政府は逆に金融引き締め(金利を上げること)、緊縮財政(国による投資を減らすこと)、増税により市場に出回るマネーを減らし加熱しすぎた景気をソフトランディングさせることが重要で、逆にデフレ不況のときは民間は借金も投資も消費もしなくなるので国が金融緩和(金利を下げること)、財政拡大(国による投資を増やすこと)、減税を行うことにより流通するマネーを増やし景気を刺激することが重要です。それらにより物価の変動を安定させることこそが経済における国家の役割です。
しかし物価もインフレ率もバラバラな国々が集まったEUでは欧州中央銀行がその辺りの役割を担いますが、当然声の大きい国の金融政策が採用されることになり、各国の経済状況に応じた細かい調整は難しくときに不合理な政策も押し付けられてしまいます。特にドイツの緊縮財政主義の押し付けによりデフレでも低インフレでも財政拡大が許されません。原理的に共通通貨建て国債では財政規律が重要ですからインフレ時の処方箋である緊縮財政をデフレだろうが低インフレだろうが続けなくてはなりません。これは凍える人に氷枕を与えるかような残酷な仕打ちであり、EUの構造上の致命的な欠陥です。
<追記>
わかりにくい文章だったので追記します。EU各国は国債発行権があるので財政拡大できそうですが、各国の中央銀行に通貨発行権がないので、日本のように国債を中央銀行(日銀)に買取らせることができません。このため原則税収から国債の金利を支払い償還しなければならないという意味で財政規律が重要で、同じ理由で財政拡大が困難でありデフレ・低インフレ対策が難しくなります。結局のところ、全てドイツ主導の緊縮財政がすべてのEU加盟国に適用されることにかなり無理があった、という点につきます。確かにEUのエリート達が訳の分からない規制を次々に押し付けてきますが、景気が良ければまだ看過できるものです。