「Flights」という名のプロジェクト

Airbnb(エアビーアンドビー)が、航空券予約サービスを開発中だ。インターネット旅行サービス大手のプライスラインやエクスペディアと競合して、旅行者がオンライン上で落とす旅行代金をもっと懐に入れようというのだ。
同社のこの計画をよく知る人物によると、航空券予約機能の開発は始まったばかりで、エアビーアンドビーは航空券のネット販売業界への参入方法をあれこれ模索中だという。
サービスがまだ開発中であるとして名前の公表を控えた情報提供者たちによると、同社はオンラインの旅行代理店を買収するか、あるいは「アマデウス」や「セーバー」といった旅行予約サービス提供業者とライセンス契約してデータを取得する可能性があるとのことだ。
エアビーアンドビー内では、このプロジェクトは「Flights(フライツ)」と呼ばれているという。
情報提供者たちによれば、エアビーアンドビーはフライツを軌道に乗せてから新規上場を目指しており、上場は今後1年半のうちに行われる可能性が高いという。
しかし、同社報道担当のニック・パパスは航空券予約サービスへの参入計画についてコメントを避け、近い将来に新規上場する予定もないと述べた。

民泊の成熟、新たな収入源の必要性

エアビーアンドビーは8年前の創業以来、知り合いでない人の住宅に旅行者が滞在する「民泊」を世界規模の産業に発展させてきた。しかし、この業界が成熟しつつあることから、新たな収入源を見つけたい考えだ。
2016年11月には、ツアーやレストラン予約を含む旅行サービスを提供する「Trips(トリップ)」をスタート。宿泊先だけにとどまらず、旅行を丸ごと計画できるサービスの提供を目指す目標に向けて2016年9月に資金調達した際には、企業評価額が300億ドルに上っていた。
航空券検索・予約サービスへの参入は、最大手のプライスラインやエクスペディアと直接競合することになる。インターネット旅行サービスでは、通常はホテルと賃貸物件のほうがマージンが大きいが、航空券予約ができるとサイトへ訪問者を呼び込むことができる。
グーグル(現アルファベット)も2010年に、航空券の検索・比較ソフトのITAソフトウェアを買収して同業界に参入し、独自の航空券検索ツールの強化を図っている。
航空券検索サイト「カヤック」のスティーブ・ハフナー最高経営責任者(CEO)は11月半ばに業界の会議に出席した際、宿泊先提供サイトの多くが航空券検索業界に参入しようとして苦労していると指摘し、「エアビーアンドビーが航空券販売に参入することについては心配していない」と述べた。
エアビーアンドビーのブライアン・チェスキーCEOは11月にロサンゼルスでプレゼンテーションを行い、同社ウェブサイトとアプリの新しいデザインを披露した。そのなかのある画像では「Trip Itinerary(旅行日程)」と名づけられたセクションに、小さな飛行機のイラストが含まれていた。
先の情報提供者によれば、価格や移動時間、天気予報をもとに最高の航空運賃オプションを同社が提供しようとしていることをほのめかしたものだという。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Olivia Zalesk記者、Gerrit De Vynck記者、翻訳:遠藤康子/ガリレオ、写真:Aslan Alphan/iStock)
©2016 Bloomberg News
This article was produced in conjuction with IBM.