日本の大企業はイノベーションを起こせるのか?
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今から1年前、弱小ベンチャーのハピキラが日本郵便さんという超大企業とお仕事を始めてわかったこと。
それは、大企業でイノベーションを起こすというのは「99.99%が調整」だということだ。
プロジェクトに関わる関連会社・部署・関係者に、上申をし続ける。
これをしなきゃ何にも始まらないが、私たちはこれだけで13ヶ月かかった。笑
その13ヶ月間、もう辞めたいって思ったのは、一度や二度じゃない。
だって、世の中を変えるってのは、もっとかっこいいことだと思ってたから。
事情説明ばかりを繰り返す自分を見て、「私って調整屋さんなんだっけ?」と虚しい気持ちになることばかりだった。
でも、調整を進めていくうちに、少しずつ応援してくれる関係者が増えるのを見て、気が付いた。
大企業でイノベーションを起こすっていうのは、「新しいことをしたくない人を説得する」ということなのだ、と。
だから、死ぬ気で調整しまくるしかないと。
大企業でイノベーションを起こすのに大切ななこと。
それは、“イノベーション”という言葉のイメージに騙されないことだ。
大企業でのイノベーションは、すごくすごく時間がかかるし、そんなにかっこいいもんじゃない。
でも。
どんなにかっこ悪くても、丁寧に調整を続ければ、日本の大企業もきっとイノベーションを起こせる。
これが13ヶ月調整屋さんをしてきた、今の私が思うことである。経験者として言うと、大企業でディスラプティブなイノベーションをおこすことは「可能」だけど、戦略とは違うところで「偶然」も必要になると思います。例えばその時のトップが誰か、とか直属のレポートラインに誰がいるか、そしてもちろんイノベーションをおこそうとする人がどれくらい本気か、力があるか、など。戦略的に人材を選んでもこのような条件を満たしているかどうかはやってみなければ分かりません。そして一つでもピースがないとイノベーションにつながりません。
なぜこういうことになるかというと、シリコンバレーベンチャーのような新陳代謝の仕組みを大企業は内在化できないからです。成功例を作るために多くの失敗が必要ですが、失敗と断定されると経営陣と当人たちのその後のキャリアは厳しいので、失敗と言われない程度に手じまいしようとする。そうなると責任も理由も曖昧なままになる。一方で偶然成功しそうな案件にも、大きな失敗にならないように投入リソース(カネと人)が抑制的になる。リソースが限られるので、ネタが良くてもディスラプティブなイノベーションには辿り着かない。こんな感じです。だから実は戦略だけでなく偶然も必要という、なんだか情けない結論になっちゃうんですね。
もちろんこれを克服するだけの強烈なリーダーシップを持ったクレイジーな経営者が出てくれば話は違います。ただ現業が巨大な分、普通のベンチャー企業よりも難しい舵取りになりますので、起業家よりもクレイジーな大企業トップが必要になります。今年に入って、大企業の間でイノベーション熱が確実に盛り上がっているように感じます。日本の大企業の人材はとても分厚い。とくにリスクを取りやすい30代がどう動くかで、日本経済の運命が大きく変わる気がしています。