『ふわとろ』私たちはどこに「おいしさ」を感じているのか
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今年の人工知能学会でも、大橋さんの発表がありましたね。下のリンクに、詳しい説明とランキングの変化が載っています。
シズルワードの現状と変化
The current situation of “sizzle words.”
大橋正房
Masafusa Ohashi (株)BMFT
https://kaigi.org/jsai/webprogram/2016/pdf/1053.pdf
「もち」「とろ」「ふわ」が伸びる一方で、「コシ」「歯ごたえ」「歯ざわり」がこの10年でどんどんどんランキングが下がっています。「サク」はあまり変化がない。
「濃厚」など、プレミアム系商品につきそうなワードは、近年のプチ贅沢傾向を見ればなんとなく想像できます。
しかし、「ふわとろ」が伸びて、「コシ」「歯ごたえ」系が下がっているのはなぜか。この変化が、時代の何によって起きているのかは非常に興味深いですが、なかなか思い当たりません。
W. Schultz が1990年代に示したドーパミンによる報酬予測誤差(reward prediction error)のモデルによれば、ドーパミンが大脳基底核の線条体に働きかけて、予測された「報酬」と実際の体験との差を「価値」として認知し記憶する事が、数理モデル的にも明らかになっています(恐らく次のノーベル生理学賞候補の筆頭)。
Sizzleワードによって、適度な期待感を持ち、それに対して体験が期待感を裏切らないことが、実際の価値に繋がります。
一方、味覚体験は様々な情報の総合であり、「開拓」可能な感覚です。その辺りも関係しているかも知れませんね。
A neural substrate of prediction and reward.
Review article
Schultz W, et al. Science. 1997.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/9054347/