[東京 17日 ロイター] - 北朝鮮の弾道ミサイル発射が相次ぐ中、防衛省は迎撃態勢の強化を加速する検討に入った。政府が2016年度第3次補正予算を編成する場合に備え、新しい防衛システムの研究費と既存の迎撃ミサイルの改修費を、来年度概算要求から前倒して計上する方向で議論を進める。

複数の関係者によると、防衛省は来年度から取り組む予定の新型迎撃システム導入に向けた研究を、今年度中に開始することを検討。3次補正が編成されれば、来年度概算要求に盛り込んだ6000万円を前倒す考え。

新型システムの候補に上がっているのは、在韓米軍も配備を進める「THAAD(サード)」と、イージス艦発射型ミサイルを地上に配備する「イージス・アショア」。日本列島にどう配備すれば効果的かを模擬実験で検証する。

サードは現行の地上配備型ミサイル「PAC3」より射程が長く、導入すれば既存ミサイルと組み合わせて上層、中層、下層の三段構えで迎撃が可能になる。宇宙空間まで届くイージス・アショアを選択すれば、大気圏外での迎撃態勢の強化が期待できる。

日本はこれまで、自国領域に落下が予想される弾道ミサイルに対し、上層と下層で迎撃する二段構えの対応を整備してきた。まず、イージス艦から「SM3」ミサイルを発射し、大気圏外で迎撃。撃ちもらした場合、地上に展開したPAC3ミサイルで対処する。

防衛省はこの2つの既存ミサイルの改修も、来年度から今年度内に前倒す方向で検討する。射程、速度を向上させる計画で、来年度概算要求には約1000億円を盛り込んでいた。

しかし、どちらのミサイルも、実際に改修を請け負う企業の態勢が間に合わない可能性があるという。

関係者によると、3次補正が組まれた場合、防衛省は2500億円程度を要求することを検討している。

(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)