アメリカで再評価される、財政の「地味な役割」

2016/9/12

イエレンFRB議長が提唱

米国で、財政の「自動安定化装置」が再評価されつつある。
金融政策の限界が議論される中で、景気が再び後退に向かう局面をにらみ、景気変動への耐性を強めようという発想だ。
インフラ投資等を通じ、成長力を底上げする財政の役割の重要性が指摘され始めて久しい。9月5日に閉幕したG20サミット(20カ国・地域首脳会議)でも、「成長の底上げへ機動的な財政措置を含めたあらゆる政策を総動員する方針(日本経済新聞)」が再確認された。
その一方で、国際会議で脚光を浴びるほどの派手さはないが、財政が果たしてきた「地味な役割」にも、再評価の兆しがある。
自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)を通じ、政治の手を煩わせずに、景気を安定化させる役割である。
ワイオミング州ジャクソンホールで行われたイエレンFRB議長の講演や、それに先立ち、名目GDPターゲティング等の金融政策の新たなフレームワークを論じて話題を呼んだウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁の論考でも、財政の自動安定化装置の強化が提唱されている。
財政の自動安定化装置について、具体的な政策を提唱しているウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁
写真)ロイター/アフロ