(Bloomberg) -- 無料通信アプリを運営するLINE(ライン)は15日、東京証券取引所1部に上場する。国内の月間利用者数が6000万人を超える国民的アプリに成長したラインには、個人投資家からの需要に期待する声もあり、グレーマーケットでは早くも人気を集めている。

個人投資家の村上直樹氏(37)はラインを「認知度が圧倒的に高い」と指摘。新規上場株への人気もあり、「買いたいな、という人はたくさんいるだろう」と話した。株式投資の世界で著名デイトレーダーとして知られる「CIS」氏はブルームバーグの電子メールによる取材に対し、「注目度が高いのでIPOで買うことは利益が上がると思ってます」と回答。長期的に魅力はないが、値動きがよければ短期トレードするとしている。

機関投資家からの需要は旺盛で、ラインは仮条件の価格を引き上げた。東証に加え、ニューヨーク証券取引所にも14日に上場し、IT企業としては今年、世界最大規模の上場となる。東証などの発表によると、個人投資家は全国の4証券取引所の上場会社の17.5%の株式を保有している。

IPO価格15%上回る

キャンター・フィッツジェラルドによると、上場前の株式の取引を行うグレーマーケットでは13日、IPO価格を15%上回る3800円の値が付いた。

ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は、国内では使っていない人がいないぐらい普及しており、株価についても「前向きに見ている人が多い」と分析する。仮条件が引き上げられたことで、さらに人気が高まるとみている。

調達した資金は海外展開など成長戦略投資に充てる。ラインは大市場の米国では普及に苦戦しており、中国本土では14年から使用できない状態が続く。3月末の月間利用者数2億1800万人のうち、1億5200万人が上位4カ国の日本、台湾、タイ、インドネシアのユーザーで、日本は6070万人だった。

あすかアセットマネジメントの平尾俊裕社長は、米で大きく拡大することは難しいとみている。ただ日本でのシェアの高さを好意的にとらえる投資家が多いことから、「いい面を見ておかないと市場に取り残されてしまう」と述べた。

発表資料によると、15年12月期の売上高は前の期比40%増の1206億7000万円となったが、純損益は75億8200万円の赤字と、前の期の黒字から赤字に転落した。売上高のうちゲームなどコンテンツ事業が41%と最も大きく、スタンプなどのコミュニケーション事業が24%、広告は30%を占めた。

(第2段落に投資家のコメントを追加しました.)

--取材協力: 北中杏奈 、 長谷川敏郎 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 天野高志 tamano6@bloomberg.net, 東京 Yuji Nakamura ynakamura56@bloomberg.net, 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 宮沢祐介 ymiyazawa3@bloomberg.net, 中川寛之

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