(Bloomberg) -- 6日の東京株式相場は続落。為替の円高加速や英国金融市場の混乱が嫌気され、自動車など輸出株、銀行や証券、その他金融など金融株、不動産株中心に下げた。ニッケルなど商品市況の急落を受け、非鉄金属株も安い。

TOPIXの終値は前日比22.44ポイント(1.8%)安の1234.20、日経平均株価は290円34銭(1.9%)安の1万5378円99銭。日経平均は一時、500円以上急落する場面があった。

しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジストは、「リバウンドが一巡し、冷静に成り行きをみようとの動きになっている」と指摘。政府の財政出動策などで具体的な動きが出ておらず、買い材料に乏しい中、「米雇用統計前に円がここまで強いと動きづらい。株価の底打ちが確認できていない恐さが残る」と話した。

5日のニューヨーク為替市場では、安全な逃避先としての需要からドルと円が上昇。イングランド銀行のカーニー総裁は、英国の欧州連合(EU)離脱決定の衝撃に伴うボラティリティを同中銀の政策が完全に補うことはできない、と発言した。ポンドは対ドルで約30年ぶり安値となり、米国債利回りは過去最低を更新した。こうした流れを受けたきょうのドル・円は一時、6月24日以来となる1ドル=100円50銭台までドル安・円高が加速した。

英大手不動産ファンドの対顧客取引停止が相次ぎ、3本で合計約91億ポンド(約1兆2100億円)の資産が凍結された。国民投票後に投資家からの償還請求が急増し、手元資金不足で償還請求に応じられないため。5日の欧州株は英保険株に加え、イタリア政府がストレステスト結果の公表前に新たな資本注入を検討していると伝わったモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行などが下げた。

しんきんアセットの鈴木氏は、英国の先行き不透明感があり、「米連邦準備制度理事会(FRB)は自国経済以外も勘案しなければならず、利上げに動きにくいと市場が見切っているのかもしれない」と円高加速の背景について分析した。また、日本アジア証券グローバル・マーケティング部の清水三津雄次長は、「景気悪化とポンド安によって英経済の先行きが分かりづらいと、投資家は保有ポジションをいったん閉じておこうという動きになりやすい。投資家への貸し付けが不良債権化する可能性もある」と懸念を示す。

世界経済の先行き不安、在庫の高水準などを材料に5日のニューヨーク原油先物は4.9%安と急反落、ロンドンのニッケル相場も需給懸念から4.8%安と8週ぶりの大幅安となった。世界的な市場混乱の再燃懸念もきょうの日本株の下方圧力となり、日経平均は午前終盤に一時501円安と英国民投票の結果を受けた24日(1374円)以来の下げ幅を記録した。

ただし、午後は徐々に下げ渋り、終値では6月27ー28日に付けた1万5300円水準はかろうじて維持。岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは、EU問題長期化への懸念、週末の株価指数オプションの特別清算値(SQ)算出に絡む仕掛け売りに言及しつつ、「1万5300円のPERは12.8倍と2月以降の下げ局面でのボトム圏である13倍以下、割安感から長期資金は入りやすい」ともみていた。

東証1部33業種はその他金融、ゴム製品、証券・商品先物取引、鉄鋼、不動産、非鉄、銀行、輸送用機器、空運、保険など29業種が下落。水産・農林、パルプ・紙、食料品、陸運の4業種は上昇。東証1部の売買高は22億1678万株、売買代金は2兆2305億円、代金は4営業日ぶりに2兆円を上回った。値上がり銘柄数は310、値下がりは1588。

売買代金上位では三菱UFJフィナンシャル・グループ、マツダ、ホンダ、三井不動産、ブリヂストン、村田製作所、オリックス、第一生命保険、TDKが安い半面、ブイ・テクノロジーやNTT、NTTドコモは上げ、SMBC日興証券が目標株価を上げたキユーピーは急伸。

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