【吉見俊哉】文系の素養がない理系は、必ず行き詰まる

2016/6/28
2015年6月、文部科学省が全国の国立大学法人に出した通知書が、物議をかもした。  
「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」と題する書面において、教員養成学部や人文社会系学部に「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組む」よう求めたのだ。
これを受けて一部メディアは、「文系学部廃止が通知された」「国立大文系が消滅?」などと報道。日本学術会議や経団連までもが文科省方針に疑問を呈する声明を出す騒ぎとなった。
この例にも見られるように、文系学部は近年、立場を弱くする一方だ。
しかし『「文系学部廃止」の衝撃』の著者で、東京大学副学長の吉見俊哉教授は、こうした流れに異を唱える。
文系の知はイノベーションに不可欠で、明確に「役に立つ」という吉見氏。その真意を聞いた。