【若林秀樹】徹底分析。日本の電機企業はIoTで勝てるのか?

2016/6/5

今はまだ第4次離陸前 

一般的に、AI、ビッグデータ、IoT、ロボットなどの新技術をドライバーとした産業全体の構造変化を「第4次産業革命」と呼ぶが、第3次産業革命を、コンピュータ、半導体、IT技術をコアとした構造変化とするなら、現在は、まだ第3.5次、第3次と第4次の間だと思う。
もちろん、第4次の萌芽が見られるのは事実だ。
これまでは物理学や化学、機械工学、電子工学など理工学をベースとしたイノベーションであったのに対し、今後起きる構造変化は、生物学、医学、バイオテクノロジーをベースとするものであり、脳科学、生物模倣や、ビッグデーターを使ったDNA解析、遺伝子操作など、理工学と医学生物学の融合になるだろう。
コンピュータや半導体では、ノイマン型アーキテクチャ、微細化ではムーアの法則の限界が近づきつつあり、ディープラーニングのような新しい発想が必要になる。
今のディープラーニングは、非ノイマンだが、完全ではない。
ディープラーニングは、今回の第3次AIブームに貢献した有望なアプローチだが、学習する初期条件によって状態が変わるだろう。
いわば微分方程式の一般解と特解のように初期条件が異なれば同一の関数形に収束しないのと同様だ。
ディープラーニングが、任意の初期条件に対する一様収束性が不明であり、フラクタルと同様に初期条件で多様に変わる。

真の第4次産業革命とは

いわば、人間の脳や、多くの生物の脳が、進化の過程の中で偶然により多様に発達してきたように、ディープラーニングも多様な解がありえるだろう。それは最適解ではない。いわば極大値だが最大値でない。