「ウェルネスとウェアラブル」- 計ると判る
見逃されていた運動
2016/5/30
他国と比べて日本が運動不足に陥っている調査が世界保健機関(WHO)より案内されました。
15歳以上の日本人のうち、65.3%が運動不足だと分析されています。他の先進国はと言うと、アメリカ43.2%、オーストラリア40.3%、カナダ35.7%となっており、先進国の中でも高い数値です。(参考:Noncommunicable diseases country profiles 2011)
運動不足の区切り方は、軽い運動が日に30分未満、もしくは20分の精力的な運動が週に3回未満であることを前提とした場合です。
この調査を見て思ったことがあります。もしも、今まで見逃していた運動を含めることができるのなら、日本人の運動不足率は大きく変化するのではないか?ということです。
たとえば、僕は仕事の関係上、ウェアラブルデバイス(FITBIT)を24時間身に着けて、はや12カ月がたちました(2016年5月時点)結果、体重は7キロ、体脂肪率は5%減りました。体重だけでみると、実に22年ぶりに70キロを切ったのでした。
別にジムに定期的に通ったわけでもなく、スーパーフードを毎日食べていたわけでもありません。
それどころか僕は、コストコの駐車場では、できるだけ手前の方に車を停めようとする、駅では階段を使わず、たとえ列がついていようとエスカレーターを使う、という横着者でした。そもそも、ジムで運動するなど、何か新しい習慣をつくるのがめんどくさくて仕方ありませんでした。
そこで仕方なく行き着いたのが「歩く」ことでした。歩くと言っても、散歩レベルの歩きではなく、ながらスマホができないくらいの「早歩き」です。
この早歩きを1日45分以上やるようにしました。バスを利用せずに、駅まで早歩き、駅ではエスカレーターを利用せずに階段で早歩きを意識しました。
何か新しく始めなさい、というわけではなく、必ず発生する通勤という時間帯を使っているだけなので、エネルギーを使って自分の生活習慣の割合を変える必要はありませんでした。
この体験を、外国人(主にオーストラリア人、アメリカ人、カナダ人)に説明したときに僕が使った言葉がこれです。
「Excise is not only go to GYM」、意訳すると「運動だけが運動ではない」です。経験上、ほとんどの人に強い関心を持ってもらいました。
そして、運動だけが運動ではない感覚は、実は身近なところにも数多く存在することが判りました。
その中のひとつがこちらです。僕の仕事の同僚にオーストラリア人女性がいます。彼女は週末にショッピングすることが習慣となっています。
ある日、気づくと2~3時間はあっという間に過ぎていることが判りました。なんと彼女は平均で1万歩以上の身体活動をショッピングを通じてしていました。
後からスマートフォンのアプリで身体活動量を見てみると、ショッピング中の消費カロリー(グラフ)は煙突のように突き抜けて高く、心拍数は脂肪燃焼ゾーンで30分以上は確保されていることが判りました。
彼女にとってショッピングとは、運動の役割をも果たしていたのです。
そんな彼女は、ウェアラブルデバイスで自分の身体活動を計り記録していたからこそ、「ショッピング=運動でもある」と考えられるようになったと教えてくれました。
なかなか運動に時間を割けない日本の社会環境の中では、運動だけが運動ではないことに「気づく」だけでも大きな一歩です。
「運動しなきゃと思っていたけど、実は意外と動いていた」ということが判ります。
それには日頃の身体活動を計り、今まで見逃されていた運動を見つけることです。
僕の場合は通勤でした。オーストラリア人の同僚の場合はショッピングでした。さて、あなたの場合は何ですか?
(写真:iStock.com/andresr)
※本連載は毎週月曜日に掲載します。