4月鉄鋼輸出、10%減の321万トン。定修など高炉の輸出余力限定
2016/05/24, 日刊鉄鋼新聞
財務省が23日に発表した4月の貿易統計(速報)によると、全鉄鋼ベースの輸出は前年同月比10・3%減の320万7千トンだった。引き合い自体は3月の市況急騰を受けて旺盛だったが、高炉大手の生産が追いつかず、2カ月連続の前年割れとなった。
もともと4~6月期は定期改修が多く予定されていることなどもあって、高炉大手の輸出余力は限られている。新日鉄住金は4月に名古屋製鉄所、5月に鹿島製鉄所、6月には君津製鉄所の熱延ミル改修があり、JFEスチールも東西両製鉄所の生産がタイトな状況だ。
5月に入り中国の鋼材市況は軟化しているものの、日本高炉は既存の輸出向け受注をこなすのに当面手いっぱいで「7~9月積みの輸出商談も数量を追う必要はなさそうだ」(高炉メーカー輸出幹部)との声も聞かれている。
4月の地域別輸出では、ASEAN向けが8・2%増の111万5千トンとなり3カ月連続で増加したが、韓国や台湾などアジアNIEs向けは5・8%減の86万5千トンで14カ月連続、中国向けは10・3%減の45万トンで4カ月ぶりの前年割れだった。
アジア以外では、中東向けが58・1%減の6万2千トンと大幅に減少。熱延や冷延鋼板で対日アンチダンピング(反不当廉売=AD)措置が適用された米国向けは10・1%減の16万9千トンで、6カ月連続の前年割れだった。
4月の全鉄鋼輸入は2・8%減の60万7千トンとなり、3カ月ぶりに前年割れへ転じた。うちアジアNIEsからは1・9%減の35万7千トン、中国からは0・1%減の13万2千トンとほぼ前年並みだった。
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