熊本地震:農水省、復旧へ農林漁業者の対策まとまる セーフティネット資金など支援
2016/05/11, 日本食糧新聞
農林水産省は9日、「緊急自然災害対策本部」の第6回会合を開き、熊本地震の被災農林漁業者への支援対策を決めた。9日までに同省が調べた農林水産業関係の被害額は約1100億円で、調査によっても明らかになっていない被害もあるため、さらにふくらむ予定。対策では認定農業者が被災時に運転資金として活用できるセーフティネット資金の貸付限度額を引き上げ、集荷・選果場などの施設資金の貸付金利を5年間無利子にするなどの支援を行う。2015年度予算の事業の運用の見直しによるものがほとんどだが、今後、被害状況を調べた上で、予備費、補正などの活用を検討していく。
農水省の9日までの調べで、食品産業に関係が深い施設では(1)熊本県と長崎県の18の選果場などで外壁や選果ラインの一部破壊(2)カントリーエレベーターなどでの地盤沈下、製粉工場での配管の破損(3)熊本県、長崎県、大分県の16漁港で防波堤などに被害などが出ている。
農水省は被災した施設に対し、早期に復旧すれば作付けに間に合う場合や二次災害の防止につながるものには査定前着工制度を活用しているが、その制度を地方自治体へ周知している。また10日に大規模災害と正式に認定されたため、県からの要請で復旧に向け直接代行で事業を行う。
食品製造業については農水省の職員なども中小企業庁の支援制度の活用を被災者に示している。中小企業庁は9日に被災中小企業者等支援策ガイドブック第4版をホームページでも公表。日本政策金融公庫、商工会議所、商工会などに相談窓口を設置し、支払いの猶予など金融面での支援を行う。また下請けの企業などが継続して発注者と取引が継続できるように指導も行う。
(伊藤哲朗)
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