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ビジネスエリートたちのお金の使い方には法則がある。それは、お金を使って、使った額以上にお金を増やすということ。そのためのルールは5つあり、「時間を買う」「ノウハウを買う」「人脈を買う」「希少性を買う」「お金を生む資産を買う」だ。黒木陽斗氏の最新著書『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する使っても減らない5つのお金のルール』から一部を抜粋・要約し、数回にわたってお届けする。

ビジネスエリートは、車を買うなら国産量産車ではなく「ポルシェ」を選びます。「お金持ちなら高級車を買うだろう、それなら国産車よりも外車だろう。何がおかしいんだ」と思われるかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。

希少性があれば値段が下がらない

第一のポイントは「ブランド力」です。量産車に比べてポルシェは生産台数が圧倒的に少ない。また「過去にレースで○勝した」「著名人が乗っていた」等といったストーリーが、ポルシェの「ほかにはない価値」を高めています。

第二のポイントは、一つひとつのパーツ自体が一級品で、耐久性が高いことです。ポルシェは300km/h近くで長時間効率よく走行でき、そのスピード領域から停止できるように設計されており、原価が高くついています。つまり、モノとして良質であるということです。

第三のポイントは、一定額以下に価格が下がらない傾向があること。むしろ、車種によっては新車よりも中古車の値段が高くなるケースが散見されます。まさにポルシェは「古くなればなるほど希少性が高くなり、値段も上がる」車の典型です。

マーケットが日本国内にとどまらないことも、価格の上昇に寄与しています。世界規模のマーケットがあれば、それだけ欲しいと思う人間が多くなり、価格も上がりやすいということです。

世界経済を見ているとわかるのですが、景気が良くなるにつれて高級車の価格もぐんぐん上がっていきます。今、ポルシェの一部のモデルは3〜5年前の値段の数倍の値段がついています。当時、中古で300万円で売っていた型が700万〜800万円で売られていたりするのです。

ビジネスエリートは、この「希少性」を非常に重視してモノを買います。

なぜなら、ポルシェに限らず、希少性があれば購入後も価値が下がりません。それどころか買った価格以上で売れるケースさえあります。「お金を使うほどに、お金が増える」、まさに生き金の使い方だといえます。

フェラーリかポルシェかレクサスか?

希少性という意味では他の高級車、フェラーリやベントレーなども悪くはありませんが、「なかでもポルシェがいい」というのが、私の意見です。

フェラーリはまさに高級車の代名詞で、以前に比べれば格段に故障しなくなりました。しかし、高級車であるがゆえにメンテナンスに費用がかかり、それでいて工場が少ないのが悩ましいのです。

希少性という意味ではポルシェより貴重ですが、その半面、汎用パーツもあまり出回っておらず、修理や交換をすると数十万円、少し古ければ車検時にその数倍の費用がかかってしまうことがあります。

ポルシェはそもそも丈夫で壊れにくい上に、汎用パーツも豊富に流通しています。また、修理工場が多いため、メンテナンスも受けやすい。要するにフェラーリに比べて維持が楽なのです。

加えていうなら、ポルシェは古いモデルでも車体が頑丈だということもあります。なお、レクサスのような国産高級車もありますが、現在のところ、単体ブランドというよりも「トヨタの高級車ブランド」という位置づけです。アメリカの高級量産車であるGMのキャデラックに似ています。

大衆向けと高級志向、2つのブランドを持っているということで、ポルシェやフェラーリの高級ブランド一本やりという路線とは違いが出てしまいます。

その点を見ると、ポルシェには、ポルシェでしかありえない圧倒的なブランド力があります。そのために、一定金額から値段が下がらない。中古で購入すれば売るときには購入金額以上の値段になる可能性もあり、大損してしまうようなことはまずありません。

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(写真:andreafidone/iStock)