[東京 18日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は18日昼、参院の財政金融委員会に出席し、半期に一度の「通貨及び金融の調節に関する報告書」の概要を説明した。

マイナス金利政策については「市場を不安定化させたとは考えない」と強調。個人預金の金利が「マイナスになることはない」が、預金手数料が発生し得るとの見解を示した。円高・株安に対しては「市場の動きに十分注視し、必要に応じて適切な対応をする」とした。

黒田総裁は「国際金融市場はかなり不安定な動きになっている」と指摘。原油価格下落や中国経済の減速に加え「米国の利上げペースの不透明感や欧州の一部大手銀行への懸念で金融市場の動揺が収まっていない」と説明した。

一方「世界経済の実体はそれほど悪くなっていない」とし「今のところ金融システムに大きな問題は生じていない」と強調した。

<預金のマイナス金利は「ない」が手数料は別>

1月に決定し今週から実行された日銀当座預金の一部へのマイナス金利適用については「事務方の追加緩和オプションの中に入っていた」ものだと説明。マイナス金利を採用したのは「量的緩和が限界に達したためではない」と述べた。

マイナス金利の適用範囲を当座預金の一部に限定し、金融機関の収益源に配慮しており、「個人の預金金利がマイナスなるとは考えていない」と述べたが、「手数料と預金金利の問題は別」とも明言。金融機関が収益の大幅減少に対応して預金手数料を徴収する可能性を否定しなかった。

マイナス金利政策の公表以降、収益圧迫懸念で銀行株が売られるなど懸念も広がっていることに対して「初めての経験なので、企業や家計から色々な声が聞かれているのは認識している」と述べた。

<G20政策協調、「会議しないとわからない」>

26─27日に中国・上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議については「金融市場不安定化の背景と影響について議論する。市場安定のための会議になるのが望ましい」と述べ、黒田総裁自身は日銀のマイナス金利政策の背景や市場の不安定化について話すとの意向を示した。

市場安定には、米中と日本、ユーロ圏が「必要に応じて協調的に行動するのが重要」としつつ「協調が具体的にどうなるかは会議を開かないとわからない」と慎重な展望を示した。

(竹本能文)