[東京 12日 ロイター] - 世界的な株安が止まらない背景について、SMBCフレンド証券チーフストラテジストの松野利彦氏は、日米欧の中央銀行に対する市場の不信感があると指摘する。投資家心理が悪化するなか、春節明けの中国市場の動向も警戒されるとしたうえで、3月末までの日経平均<.N225>の下値のめどについては1万4000円近辺との見方を示した。

12日午前、ロイターのインタビューに答えた。

──リスクオフの正体は何か。

「(株安が)ここまで来ると中央銀行に対する不信が出てきているのだろう。追加緩和を示唆した欧州中央銀行(ECB)に始まり、日銀のマイナス金利、米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を経ても、株安が抑えられない。市場心理がほぼパニック的な状況となるなか、一国の中央銀行が何をしても、聞く耳が持たれないといった感じもある。春節明けの中国市場で、上海株と人民元がどこまで安くなるのかも読めない」

──3月末までの日経平均の下値めどは。

「2014年に1万4000円を割れる局面があった。足元の日経225オプションでも3月限の1万4000円プットの建玉が増えている。この辺りを意識していくこととなるだろう」

──市場心理の回復のカギは。

「一国の中央銀行でどうにもならないのであれば、国際的な政策協調が望まれるところだ。26─27日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、その姿勢が見えてくれば、悪化した市場心理も治まっていくのではないか。為替介入は、実施したとしても効くのは最初のうちだけ。中国市場が休場明けとなる前にやっても、無駄玉になる可能性がある」

「国内では夏に選挙があり、その前に何らかの景気浮揚策が出てくる可能性がある。財政面での対応になるのか、消費増税の先送りになるのか、いろいろあるとは思うが、これも一つのポイントとなるだろう」

(長田善行)