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拡張現実の特許技術、ユーザーの住まいに届く

アマゾン・ドット・コム(本社:ワシントン州シアトル)は現在、拡張現実(AR)のコストを下げ、通常は未来的な軍事訓練やビデオゲームのコンベンションと結びつけられるこの技術を、リビングルームに届ける取り組みを行っている。

アマゾンは12月1日、特許2件を取得した。これらの特許では、デジタル世界をユーザーの部屋に投影。体の動きや、カメラやヘッドセットなどを用いて仮想現実(VR)で相互作用させる一連の技術に関する概要が述べられている。

「3D環境におけるオブジェクト・トラッキング」のための特許は、手のさまざまな部分を認識するモニターカメラを介して、ユーザーがデバイスを制御できるようにする。この特許技術では、ユーザーの手を経時的に追跡してデバイスを制御するという問題の解決が試みられている。

もう一方の特許技術「特定シーンの、リフレクター・ベースのデプス・マッピング」では、コンピューター・プロジェクションを使って、部屋をユーザーの感覚に反応するバーチャル環境に変えるというものだ。

特許によるとこのシステムは、単一の光源でこれを実現することにより、既存技術との差別化を図っているという。既存の技術は多数の光源に依存しており、頻繁に再調整しなければならないからだ(さらに、これが高コストの原因になっている)。

発明者たちはアマゾン研究開発センターに繋がる

この2つの特許技術は、ハードウェア部門における既存の製品ラインを超えた、アマゾンの野心を明らかにしている。

アマゾンの既存の製品ラインには、たとえば、音声作動式のスピーカー/パーソナルアシスタント「Amazon Echo」がある。

Amazon Echoは音楽を再生したり、ニュースを伝えたり、自宅の照明や暖房などのシステムを調節したりするほか、カレンダーとの同期も可能だ。アマゾンの担当者から、これらの特許に関するコメントは得られなかった。

米特許商標局(USPTO)の文書によると、アマゾンは、デラウェア州ウィルミントンにあるローレスLLCとともに開発を進めているようだ。

ローレスLLCは、タブレットサイズの透明の発泡体/プラスティックのシートなどの特許も出願している。このシートは、未接続のデバイスから情報を投影表示するのに用いられ、暗闇で文字を読むのに利用できる。

特許出願のモニタリングを行っているリーガル・テクノロジー企業、スマートアップ・リーガルで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるミカイル・アヴァディーによれば、ローレスLLCのさまざまな特許出願に記載されている発明者たちは全員、カリフォルニア州パロアルトにあるアマゾンの研究開発センター「Lab126」と共通のつながりを持っているという。

「すべて同じ場所から生み出されている」とアヴァディーは語った。

原文はこちら(英語)。

(原文筆者:Spencer Soper/Jack Clark、翻訳:阪本博希/ガリレオ、写真:United States Patent and Trademark Office)

©2015 Bloomberg News

This article was produced in conjuction with IBM.