【駒崎×慎(1)】「ひとり親を救え!プロジェクト」の炎上から考える
2015/12/07, NewsPicks編集部
イノベーターズ・トーク Part 1
【駒崎×慎(1)】「ひとり親を救え!プロジェクト」の炎上から考える
2015/12/7
現在、駒崎氏が進めているのが「ひとり親を救え!プロジェクト」。これは、ひとり親の子どもの貧困率が54%と非常に高い現状を打破するために、児童扶養手当の増額を求めたキャンペーンだ。しかし、ネット上では当事者から批判の声も上がり、炎上騒動となった。第1回は、今回の件を振り返りながら、親と子どもを取り巻く課題について考えていく。
「ひとり親を救え!」が目指すもの
駒崎:私の最近の取り組みとしては「ひとり親を救え!プロジェクト」が挙げられます。
これは、ひとり親、主に半分以上が貧困であるシングルマザーの現状を何とかしたいと取り組んでいるものです。ちなみに、日本の父子家庭は22万3000世帯、母子家庭は123万8000世帯となっています。
日本の母子家庭の就労率は約81%と、世界でもトップクラスです。しかし、パート、アルバイトなどの非正規雇用が約47%と生活が安定していません。また、別れた夫で養育費を払っている割合は約2割と非常に低い。
こうした苦しいひとり親家庭の生活を安定させるために、児童扶養手当という国からの補助があります。所得の制限はありますが、扶養している1人目の子どもには、月額で約4万円が出ます。
でも、2人目になると5000円になって、3人目以降になると3000円しか出ない。この制度をもっと良いものに変えたいと思っています。最近は、塩崎(恭久)厚生労働相も、前向きに増額を検討したいと国会で答弁してくれたので、その意味では一歩進んだのかなと考えています。
慎:それは素晴らしいですね。
駒崎:ただ、問題はいくら増額されるかということですよね。500円や1000円の増額でお茶を濁されても困ります。5000円、1万円は上げたいなと思っています。そのためにも、12月末くらいまでにかけてガンガン動いて、政治家の方の理解を得ていきたいと考えています。
慎:「ひとり親を救え!プロジェクト」の署名はどれくらい集まっていますか?
駒崎:署名は3万を目標にしていたのですが、8日で達成しました。今は3万8000ほど集まっていますね。結構地味なテーマなんですけれど、注目していただけました。
それはきっと、呼びかけ人に沢口靖子さんとか、乙武洋匡さんなどの著名人が参加してくれたことが、すごく大きかったと思います。
批判にどう向き合うか
慎:1点、ほかの人が聞きにくそうな質問として、駒崎さんの炎上へのスタンスについて伺えればと思うのですが。今回の件も、それによって注目を集めたところもあったのではないでしょうか。
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コメント
注目のコメント
ここで書いている愛着について補足を。これは人の心において、「いつでも帰ることのできる拠り所」のことです。多くのケースでは母親がその愛着のベースになりますが、別の人でも良い。
例をあげましょう。エヴァンゲリオンで、初号機に取り込まれてしまったシンジが夢のなかで母親と出会い、そこで母が語る言葉を拠り所にして、また世界に戻ってくるシーンがあります。ここでは、シンジにとってはお母さんが愛着のベースだったわけです。愛着のベースは基本的に幼児期に作られます。5歳まで母親と一緒にいたので、彼にはそのベースができていたのでしょう。だから、セカンド・インパクト後の世界を生き抜く力があった。
(って、エヴァ知らない人には却って分かりにくくてすみません・・・)声を上げると叩かれる。何もしない方が損しない。という現状は何とかならないものかと常々思います。その意味では、炎上しようと信念を貫くという姿勢は素晴らしいなと。
お恥ずかしながら、里親の申請条件など、全く知りませんでした。子どものための一人部屋がないと…の時点で、都会のマンション暮らしの人はみんな弾かれてしまうのでは?子どもに関わるプロフェッショナルの人が、人を育てるということに関して、成功と失敗があるという前提をおくことと、因果を定義することは、やめたほうがいいと思います。
具体的には、里親で育つと施設で育つよりも脳の成長とIQが勝る(成功する)だとか、「愛着障害を抱えた子どもは、その後の人生において人間関係や継続力などで苦労をする」(失敗する)から愛着を与えやすい里親がいい、というような捉え方です。
日本の社会的養護が施設養護に偏っているのは事実で、もっといろんな方法があったほうがいい(子どもだっていろいろなんだから)と思っていますし、書かれているような生まれたてなら特別養子縁組も組みやすい(育った子どもを引き取る人は少ない)のでそのタイミングを逃さない工夫も必要だと思います。でも、家庭的養護促進を愛着障害で説明するのは無理がありますね。その理屈を使うなら、一般家庭で育った子どもおよび里親・養子縁組家庭にいさえすれば愛着障害は起こらないということも同時に証明しないと。そもそも、愛着障害があると何が悪いですかね?そしてそれは一生モンでなにか烙印のように押されてしまうのでしょうか。虐待にからめるなら、虐待が起こっている場は圧倒的に「家庭内」です。
繰り返しますが、いろんな子育ての方法があるのがいいとは思っています。私自身は若かりし頃、どの女性とも同じようにキャリアと出産について悩みましたが、自分が産んだ子でなくても自分は愛せることがわかったので、子どもを育てたくなったら自分が産んだのではない子を育てようと思いその悩みは解消しました。もっと「人の子」をふつうに育てる風潮が広がればいいなとは思っています。
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