[東京 10日 ロイター] - 新関西国際空港会社は10日、関西、大阪(伊丹)国際空港の運営権について、オリックス<8591.T>と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートの連合が優先交渉権を得たと発表した。同連合は、空港インフラとしての利便性の向上や競争力を高めるため、今後総額9448億円の設備投資を行う計画だ。

両空港の運営を託されたオリックス・ヴァンシ連合に参加する企業は、両社のほか、ダイキン工業 <6367.T>、サントリーホールディングス、パナソニック<6752.T>、大和ハウス工業 <1925.T>など計30社。

オリックスが運営を行う特別目的会社(SPC)に社長を送り込み、SPCの株式の40%ずつをオリックスとヴァンシが握る。残る20%はその他の企業が保有する。

運営にあたっては、オリックスが経営企画、財務などの経営面を主導する。経済界との対話やグループの持つ商業施設の開発・運営ノウハウを利用しながら、ターミナルの収益拡大を目指す。

ヴァンシは日々の航空運営や技術、安全推進を担当するほか、事業の成長や国際的な競争力の強化などを図る。すでにフランスとポルトガルを中心に、欧州、アジア、南米で25カ所の空港を開発・運営しており、経済の発展とともに成長が見込まれるアジアでの事業拡大を目指している。

関西、大阪(伊丹)空港の運営は2016年4月から始まり、事業期間は2060年3月末までの44年間の予定。

オリックス・ヴァンシ連合は、関西、大阪(伊丹)の搭乗手続きの時間縮小のほか、関西をイメージできる物販店などの店舗展開で魅力を高めたり、格安航空会社(LCC)の増便や周辺の宿泊施設の新設も行う。

こうした戦略のもと、両空港の2059年度の旅客数は14年度比65.9%増の5751万人、営業収益は67.6%増の2509億円に拡大する計画だ。

今回の運営権の売却は、安倍政権が重点政策の1つに掲げるPFI(民間資本を活用した社会資本整備)の代表例。ただ、運営権の期間が長いことや国が予定する売却価格の水準を嫌気し、入札に消極的な企業が続出。オリックス・ヴァンシ連合のみが、最終入札を経て運営権の獲得に内定していた。

*内容を追加します。

(江本恵美 編集:吉瀬邦彦)