HTA導入「患者アクセスの障害とならないように」――EFPIA会見
2015/10/23, 薬事ニュース
欧州製薬団体連合会(EFPIA)は10月6日、訪日したステファン・オシュマン副会長、リカルド・ベルクシュトローム理事長、およびEFPIA Japanのカーステン・ブルン会長が記者会見を開催、新薬創出加算の継続やHTA(医療技術評価)導入に関する見解などを改めて示した。
オシュマン副会長=写真=は、日本、欧州ともに高齢化社会に直面していることから言及した。とくに日本に対しては、がん(NCDs)が高齢化社会の大きな負担になっていると指摘、「多くの人が薬を使えるような、効率のよい医療制度が必要だ」と述べた。また、日本の医療制度(国民皆保険)について「高い結果を残している」と評価した一方、日本の課題としては「新たな医療技術の導入」を挙げた。PMDAの取り組みなどにより、審査期間が大幅に短縮したことについては「新製品の開発に魅力的な国となった」と評価したが、日本および欧州ともにバイオベンチャーあるいは大学発のイノベーションから生まれた新薬開発が米国に比べ少ないことを指摘。日・欧ともに「イノベーションがどこから生まれるのか見直す必要がある」とした。そして、日本に対して「創薬のための環境改善のためにできることが5つある」と指摘している。その5つは①官民パートナーシップ②自由貿易協定と直接投資の増大③イノベーション指向の薬事政策④イノベーションの評価⑤成長のための資本自由化と透明性の推進――。このうちイノベーションの評価については、例として新薬創出加算を挙げ、同加算の制度化をうったえた。
ベルクシュトローム理事長は、欧州におけるHTAの経験などを紹介した。欧州では、多くの国が保険収載や償還価格決定にHTAを利用しているが、こうした経済的評価は各国で異なっており、支払能力も国によって異なることから、HTAに関して協同することで合意していると述べた。さらに、国境を超えた受療行動が生まれていることもあり、欧州では患者アクセスが大きな問題になっているとし、アクセス改善のために欧州相対的有効性評価(REA)を策定する動きになっていると説明した。REAでは、経済評価について、医療制度が異なることから各国に任せるべきとしているほか、製薬業界は欧州レベルでの経済評価に反対していることを紹介した。
ブルン会長は、これらの内容を受けるかたちで「日本が魅力的な市場であり続けるために」必要な事項として「新薬創出加算の継続」「薬価の毎年改定を回避」「HTAの導入を患者アクセスの障害とさせない」ことを挙げた。HTAに関しては試行的に導入することが決まっているが、ブルン会長は「現行の薬価制度にどのように組み込まれるのか」など疑問が残されていると指摘、HTA導入に関して「すべてのステークホルダーを議論に参加させるべき」などの見解を改めて示した。
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