ロービーム検査、指定整備工場でも戸惑い 光度不足で不合格目立つ
2015/10/05, 日刊自動車新聞
車検時のすれ違い用前照灯(ロービーム)の検査実施から1カ月が過ぎ、自動車整備の現場では戸惑いが続いている。指定工場でも9月1日からすれ違い用前照灯での検査に移行したが、不合格となるケースが目立っている。複雑な形状のヘッドランプやLED式ランプ以外でも、光度不足などで不合格となることが多いという。指定整備工場では基準適合に向けた調整やバルブ交換が強いられ、負担が増している。結果的にユーザー負担にもつながるだけに、これまで以上に丁寧な説明が求められそうだ。
「国の検査場ではロービームの検査が不合格でも、ハイビームでOKになるのに…」と指定整備事業者の声がもれている。指定工場ではLEDやHID、複雑な形状のヘッドランプなどで計測困難とみなされる場合を除き、すれ違い用前照灯での検査に移行した。すると光軸調整が正しく、光度測定点も合っているのに光度不足などと判定されることが増えたという。
もともと走行用(ハイビーム)前照灯のほうが光量が大きく、すれ違い用前照灯のほうが検査に合格しにくい傾向はある。しかし、テスターに不具合がなければ、ランプバルブの劣化やランプレンズの曇りなどが考えられ、再調整が必要となる。
すれ違い前照灯検査への移行は1998年8月末に通達された。当時はすれ違い前照灯に対応したテスターが少なく、対象車両(98年9月以降の製作)も少なかったため移行が先延ばしされてきた。昨年末には検査場での体制が整い、対象車両も保有台数の約9割を占めることになったため、今年9月の移行が決まった。「全面的に移行する前にテスト期間があれば混乱は少なかったかも」と指摘する関係者もいる。
こうした動向をとらえ、補修用ランプメーカーや部品商では、ランプバルブの交換キャンペーンなどを打ち出し始めた。自動車用ケミカル用品メーカーでは、ランプレンズの曇りや黄ばみを除去する製品をアピール。ユーザーに注意喚起を促すとともに、整備事業者にも除去作業メニューの導入を勧めている。
検査方式変更から1カ月。整備事業者への浸透が始まったばかりだが、短時間車検などで数多くの台数を検査する工場ではユーザーへの事前告知も迫られそう。ユーザーとの信頼関係を高めるうえでも的確な説明が求められる。
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